2005 Fiscal Year Annual Research Report
結核菌生菌の宿主細胞傷害活性に関するIL-1レセプター関連シグナルの解析
Project/Area Number |
17590105
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
瀧井 猛将 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (80244573)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野嵜 菊夫 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20101313)
|
Keywords | 結核菌 / ワクチン / 一酸化窒素 / 病原性 |
Research Abstract |
結核菌の病原性機構を探索する目的で、結核菌(ヒト型、ウシ型)やBCGワクチン株の遺伝的な違いと生物学的な表現型の違いについて比較検討を行った。本年度は12のBCG亜株について宿主細胞から放出される殺菌分子である一酸化窒素(NO)に対する感受性の検討と、ヒト肺胞上皮細胞株A549を用いた宿主細胞内での生存能について検討した。さらに、14亜株の生化学的な特徴(硝酸塩還元能試験、ナイアシン試験、ウレアーゼ試験、カタラーゼ試験等)の違いについても検討をおこなった。BCG亜株には亜硝酸ナトリウムを含む培地では増殖が抑制されるNO感受性株とNO耐性株が存在していた。硝酸塩還元能はPhipps株だけ陽性となり、NO感受性との関連は認められなかった。また、カタラーゼ活性についてBCG株は全て低かった。ナイアシンテストは微陽性となる株があった。ウレアーゼ試験は総て陽性であった。感染16時間目と3日目のA549細胞内の菌数を比較したところ、3日目でも菌数が減らない株と、3日目に大きく菌数が減少する株が存在した。興味深いことに、in vitroでのNO感受性と宿主細胞内での生存能に相関が見られなかったことから、宿主細胞内での生存能はNOによる殺菌機構からの逃避ではないことが示唆された。現在、阻害剤を用いてNOの役割を検討中である。生化学的な特徴と宿主細胞内での生存能についても相関性が認められないことから、何らかの因子が感染の維持に重要であることが強く示唆された。一方、BCG単独、もしくはサイトカン(インターロイキン1(IL-1)や腫瘍壊死因子(TNF-α)との共刺激によるA549細胞からのNO産生を調べたところ、サイトカン共刺激時に相乗効果の見られる株が存在した。これらの株は強いアジュバント活性を持つことが期待された。本研究の成果はBCGワクチンの再評価における基礎的な知見を与えるものである。
|
Research Products
(2 results)