2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590107
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
大井 浩明 昭和大学, 薬学部, 助教授 (60194065)
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Keywords | MPTP / 神経変性 / シトクロムP450 |
Research Abstract |
マウスを用いたポールテストにおいて、1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン(MPTP)によるパーキンソン病様症状の発現を3-メチルコランスレン(3MC)が増強することを、更に例数を増やして検討した。季節等による変動はあるものの、3MC同時投与により測定値(ポールを降りるのに要する時間)が増大し、これまでの結果に再現性が認められた。この結果の分子的背景を探るために、RT-PCRによる脳内シトクロムP450(CYP)発現量の変動を検討したところ、3MC単独投与でCYP1A1発現量に増加が認められたが、3MCとMPTPの同時投与によりその増加の割合が減少した。CYP1A1は神経保護作用・変性作用ともに報告されているエストロゲンの代謝に関与しているCYP分子種であり、その発現量の変動がパーキンソン病様症状発現の増強に関わっている可能性が考えられる。CYP1A1同様エストロゲン代謝に関与しているCYP1B1の発現量変動も同時に検討したが、CYP1B1ではCYP1A1と異なり、3MC投与による発現量増加へのMPTP同時投与の影響は認められなかった。CYP1A1、CYP1B1の発現調節にはどちらもAhRが関与しているため、MPTPがそれぞれの分子種の発現に異なる影響を与えていることは非常に興味深い。今後は、その発現量変動のエストロゲン代謝への影響を検討したいと考える。また、神経系に影響を与える可能性のある化合物を代謝するCYP分子種の発現調節が神経系では他の臓器と異なるのかどうかも興味あるところであり、申請者らが既にcDNAを得ているアフリカツメガエルAhRおよびARNTの神経系での発現調節機構を解明することで、マウス等哺乳類での検討に必要な知見を得たいと考えている。
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