2005 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシンによる発がん関連転写因子の活性化とそのメカニズム
Project/Area Number |
17590109
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
手塚 雅勝 日本大学, 薬学部, 教授 (00046294)
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Keywords | ダイオキシン / AhR / A549細胞 |
Research Abstract |
[目的]Ahレセプター(AhR)ならびにArntは、その構造内にbHLH/PASドメインを持つ転写因子であり、ヘテロダイマーを形成してダイオキシン類の毒性発現に関与することが知られている。我々は、ダイオキシン類が肺がん誘発作用を有すること、さらにはAhRが肺において高い発現を示すことに注目し、ヒト肺がん由来A549細胞におけるダイオキシン類の影響を検討した。その結果ダイオキシン類が、AhR依存的に細胞増殖調節に関わる転写因子であるE2Fの活性を増加し、その結果、A549細胞の増殖を促進することを明らかにした。そこで本研究ではAhR/ArntとE2Fの相互作用を検討した。 [方法]エンハンサー部分にE2F結合配列もしくはAhR/Arntの結合部位であるXRE配列を含むリポーター遺伝子をAhR、ArntあるいはE2FのsiRNAと共にA549細胞にトランスフェクションし、その活性を測定した。また、AhR、ArntならびにE2Fの欠失変異体発現ベクターを同じくリポーター遺伝子と共にA549細胞にトランスフェクションし、その活性を測定した。 [結果・考察]E2F依存的転写活性はAhRあるいはArntの発現抑制により低下した。その一方でE2Fの発現抑制はAhR/ArntによるXRE配列の転写活性を促進した。またAhR/ArntはE2Fと複合体を形成することを免疫沈降法により明らかにした。次いでAhR、ArntならびにE2Fの欠失変異体を用いてAhR/ArntならびにE2Fの相互作用を検討した結果、AhRならびにArntではPASドメインが、E2Fではガン抑制因子であるRbタンパク質との結合部位がそれぞれの相互作用に必要であることが示された。これらの結果よりAhR/ArntはE2Fと複合体を形成し、E2F結合配列に対する転写促進因子として作用することが示された。
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[Journal Article] BMAL1,a component of the molecular clock, regulates adipogenesis.2005
Author(s)
Shimba, S., Ishii, N., Ohta, Y., Ohno, T., Watabe, Y., Hayashi, M., Wada, T., Aoyagi, T., Tezuka, M.
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Journal Title
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 102
Pages: 12071-12076