2006 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシンによる発がん関連転写因子の活性化とそのメカニズム
Project/Area Number |
17590109
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
手塚 雅勝 日本大学, 薬学部, 教授 (00046294)
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Keywords | 薬学 / 環境 / 癌 / 遺伝子 |
Research Abstract |
【目的】ダイオキシン類の毒性の多くは、その特異的受容体で、構造内にbHLH/PASドメインを持つ転写因子であるAhレセプター(AhR)により媒介される。我々はダイオキシン類が肺がん誘発作用を有すること、さらにはAhRが肺において高い発現を示すことに注目し、ヒト肺がん由来A549細胞におけるダイオキシン類の影響を検討した。その結果ダイオキシン類がAhR依存的にA549細胞の増殖を促進すること、さらにはそのメカニズムとしてAhR/Arntが発がん関連転写因子であるE2Fを活性化し、標的遺伝子である細胞増殖関連因子の発現を上昇させることを明らかにした。そこで本研究ではAhR/ArntによるE2F活性化機序を検討した。 【方法】AhR、ArntならびにE2Fの欠失変異体発現ベクターを作製し細胞内に導入した。またRNAi法による遺伝子発現抑制は、siRNA導入48時間後にWestern blot法により確認した。各タンパク質の相互作用は、免疫沈降法により解析した。 【結果/考察】AhR、ArntあるいはE2Fの発現をRNAi法により抑制した結果、いずれの場合においてもE2F依存的転写活性は低下した。それに対して、AhR/ArntによるXRE配列での転写活性は、E2Fの発現抑制により亢進した。またAhR、ArntならびにE2F欠失変異体を用いてその相互作用を検討した結果、AhR、ArntではPASドメインが、E2Fではがん抑制因子であるRbタンパク質との結合部位が相互作用に必要であることが認められた。またAhR/ArntがE2Fと複合体を形成することが免疫沈降法により明らかとなった。これらの結果からAhR、ArntならびにE2Fが複合体を形成し、この複台体はE2F結合配列に対しては促進的に作用し、その一方でXRE配列に対しては抑制的に作用することが示された。
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