2005 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌かく乱物質のカテコールアミン神経系への影響とその受容体の検索
Project/Area Number |
17590111
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
高橋 浩二郎 産業医科大学, 大学病院, 部長 (70389477)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 延章 産業医科大学, 医学部, 教授 (80140896)
上野 晋 産業医科大学, 医学部, 講師 (00279324)
豊平 由美子 産業医科大学, 医学部, 助手 (90269051)
|
Keywords | エストロゲン / カテコールアミン生合成 / 細胞膜エストロゲン受容体 / チロシン水酸化酵素 / 副腎髄質 / 内分泌かく乱化学物質 / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
内分泌かく乱物質の神経系機能への影響を調べる目的で、神経伝達物質の1つであるカテコールアミン(CA)の生合成に焦点を絞り、ノルアドレナリン神経のモデル実験系である培養ウシ副腎髄質細胞を用いて検討した。その結果、内分泌かく乱化学物質であるp-ノニルフェノール(p-NP)やビスフェノールA(BPA)が、17β-エストラジオールとともに^<14>C-tyrosineからの^<14>C-CA生合成を促進する事を見出した。驚くべき事に、このp-NPが国際安全基準値(4.5nM)の45分の1という低濃度(0.1nM)においてCA生合成を有意に促進する事を見出した。この濃度は日本の近海や河川でも十分に検出される濃度であった。またこの促進作用は、エストロゲン受容体阻害剤ICI182,780で抑制されない事から、従来の細胞核内エストロゲン受容体とは異なる受容体を介している事が示唆された。さらに、p-NPは、細胞内のMAPキナーゼやチロシン水酸化酵素(CA生合成の律速酵素)の活性化を引き起こした。この後者の反応は、MAPKキナーゼ(MEK)の阻害剤U0126で抑制されることから、p-NPはMAPキナーゼを介して、チロシン水酸化酵素さらに引き続きCA生合成を促進していると考えられた。また内分泌かく乱化学物質が短時間(数分以内)で細胞内のMAPキナーゼやチロシン水酸化酵素を活性化することから、これらの化学物質が細胞膜の受容体に作用していると考えて、その受容体を薬理学的に解析した。その結果、副腎髄質から部分精製した細胞膜に対して[^3H]17β-estradiolは特異的結合を示した。現在、その受容体の薬理学的解析と遺伝子クローニングを検討中である。
|
Research Products
(7 results)