2005 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス性胃腸機能障害におけるホットおよびコールド受容体を介する機能異常
Project/Area Number |
17590116
|
Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
堀江 俊治 城西国際大学, 薬学部, 教授 (50209285)
|
Keywords | TRPV1 / カプサイシン / 消化管機能 / TRPA1 / 免疫組織化学 / CGRP / 内臓知覚神経 / 知覚過敏 |
Research Abstract |
ストレスによる消化管機能の異常亢進および知覚過敏が、内臓知覚神経系に発現しているホット受容体TRPV1およびコールド受容体TRPA1の機能異常に基づくものではないかという仮説を立て、これを証明するために薬理学的研究を行った。本年度は実施計画に従い、正常動物の消化管におけるTRPV1、TRPA1の生体機能と分布について検討を行った。その研究結果の要点を以下の3点にまとめた。 (1)消化管運動:マウス摘出下部消化管標本において、カプサイシンでTRPY1を刺激した際に惹起する収縮・弛緩反応を検討した。その結果、TRPV1は消化管運動を亢進する方向に働いていた。さらに、この反応は、肛門に近い遠位結腸、直腸において大きかった。この反応には知覚神経から遊離される神経ペプチド、特にカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が関与していることを見出した。イシリンを用いて、TRPA1を刺激した際に惹起される消化管運動を検討した。その結果、TRPA1も消化管運動を亢進する方向に働いていることが示唆された。 (2)胃酸分泌:マウス摘出全胃標本において、カプサイシンは胃のTRPV1を介して酸分泌を抑制することを見出した。この反応にも知覚神経から遊離されるCGRPが関与していることを明らかにした。 (3)消化管TRPV1受容体の分布:ラット胃の凍結切片を免疫染色し、TRPV1が脊髄由来知覚神経上に発現していることを見出し、その神経線維の分布を明らかにした。項目2と関連して、TRPV1神経線維は胃壁細胞の近傍を胃腺に沿って走っており、その神経線維にはCGRPが含有されていた。 本年度の検討より、正常動物の消化管知覚神経系にはホット受容体TRPV1が恒常的に発現しており、その神経から遊離されるCGRPなどの神経伝達物質が消化管機能を調節していることが明らかとなった。
|