2005 Fiscal Year Annual Research Report
薬物の経口吸収動態を制御する生理学的因子の解析とその吸収挙動予測への応用
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17590124
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 聰城郎 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10025710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜垣 和孝 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (60284080)
大河原 賢一 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (30291470)
川井 恵一 金沢大学, 医学部, 教授 (30204663)
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Keywords | 経口吸収 / P-gp / Cyp3A / 難水溶性薬物 / 予測 |
Research Abstract |
申請者らは、既に、薬物の経口吸収性に大きな影響を及ぼすこれらの因子の中で、液状製剤の経口投与後の消化管内移行速度、各部位における吸収性、さらには肝臓における初回通過効果を組み込んだ解析モデルGI-Transit-Absorption(GITA)Modelを構築し、様々な吸収特性をもつ薬物の経口吸収性の解析および予測に成功してきた。しかしながら、消化管粘膜における代謝、分泌については、詳細な検討はなされておらず、消化管粘膜において代謝、分泌される薬物の経口吸収性の予測を行うには、消化管粘膜における薬物の代謝および分泌を定量的に評価・解析が必要である。本年度は、消化管における分泌機構としてP-glycoprotein(P-gp)に、代謝機構としてCYP3A2に焦点を絞り、その経口吸収への影響を定量的に評価すべく、その評価系の構築を行なった。まず、P-gpとCYP3A2を共に発現誘導することが知られているdexamethasone(DEX)を25,50及び100mg/kg/dayで2日間経口投与することにより、両タンパク質の高発現ラットの調製を行なった。P-gp活性の評価は、単離小腸粘膜を用いて、P-gpの典型的な基質であるrhodamin123の分泌方向の輸送活性により行い、DEXによる上記処理により10〜16倍に亢進することが明らかとなった。一方、CYP3A2活性は、典型的な基質であるtestosteroneを用い、ミクロソーム画分とのインキュベーションによる6β-OH体の生成により評価した。その結果、代謝に関する固有クリアランスが1.1〜2.3倍に増大することが明らかとなった。これらの結果より、DEXによる上記の処理により、P-gp及びCYP3A2の発現量の異なったラットを調製できることが明らかとなった。一方、消化管吸収、分泌、代謝、更には肝代謝を同時に定量的に評価可能とする系である小腸・肝臓同時灌流法の確立を目指し、種々の検討を行った結果、10% 赤血球、3% bovine serum albumin、2% dextran-70を含有したKrebs-Ringer bicarbonate bufferを用いることにより、高いviabilityを維持した灌流が可能であることが明らかとなった。
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