2005 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症モデル動物における脳内神経伝達分子のinvivo解析に関する研究
Project/Area Number |
17590132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
福島 健 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (00272485)
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Keywords | 統合失調症 / D-セリン / キヌレン酸 / マイクロダイアリシス / ケタミン |
Research Abstract |
本研究では、重篤な精神疾患の一つである統合失調症の克服を目指し、その治療に有効な候補因子の探索、更には新規薬物の創製を最終的な目的としている。ヒト(患者)での実験では種々の制限があるので、統合失調症の研究に有用なモデル動物が必要であるが、これまで報告されている同症のモデル動物では、内因性の生体分子、特に神経伝達分子の変動などの詳しい評価はなされていなかった。そこで、本年度は、NMDA受容体のアンタゴニストである麻酔薬ケタミンを連投して作製した統合失調症モデルラットについて、生体分子変動などの評価を中心に行った。 その成果を下記1-3に記した。 1.ケタミン連投による統合失調症モデルラットを作製した。このモデルラットでの生体液中アミノ酸濃度変動を、自ら開発したHPLCによるアミノ酸の高感度定量法を用いて調べた。その結果、ヒト統合失調症患者の場合と同様に、脳脊髄液中ではGlu濃度が有意に減少し、一方、血漿中では有意に上昇していることを見出した。 2.HPLCによるキヌレン酸(NMDA受容体の内因性アンタゴニスト)の高感度定量法を、独自に開発した。これにより、ケタミン処置ラット血漿中のキヌレン酸変動を調べた結果、ケタミン処置ラットでは、コントロール群に比べて、血漿中キヌレン酸濃度が有意に上昇していた。 3.ラット脳マイクロダイアリシスを行い、NMDA受容体アゴニストであるD-セリンを腹腔内投与した結果、細胞間液中のGlyならびにGlu濃度が上昇することを初めて見出した。 次年度では、これらの研究成果をもとに、ケタミン処置ラットを用いて、脳神経-グリア細胞間での神経伝達因子の影響を詳しく検討する予定である。
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