2006 Fiscal Year Annual Research Report
RNA千渉技術を用いたヒト胎盤関門評価系における薬物透過機構の実証的解析
Project/Area Number |
17590136
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
渡辺 善照 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (70175131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 昌夫 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (50309697)
藤井 まき子 昭和薬科大学, 薬学部, 准教授 (50199296)
小泉 直也 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (80433845)
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Keywords | 遺伝子 / RNA干渉 / 胎盤関門 / 薬物透過機構 / 薬理学 |
Research Abstract |
本年度は、ファイバー改変型アデノウイルス(Ad)ベクターによる、分化型胎盤細胞への効率的遺伝子導入についての検討を行った。ヒト胎盤血液関門はトロホブラストと呼ばれる細胞が層状に存在しており、胎児-母体間の物質交換、さらには薬物透過の障壁として存在している。このトロホブラスト層は胎児側から母体側に行くに従い分化が進み、最も母体側に存在するシンシチオトロホブラストと呼ばれる細胞が実質的な障壁機構を担っていると考えられている。ヒト胎盤細胞株として汎用されているBeWo細胞は、細胞内のcAMPを上昇させることにより分化が進みシンシチオトロホブラスト様の機能を持つことが知られている。しかしながら、分化型BeWo細胞はAdベクターによる遺伝子導入効率が低いことが知られており、薬物透過機構の実証的解析のためには分化型BeWo細胞への効率的遺伝子導入方法の確立が優先事項になると考えられる。 そこで、研究代表者らは、分化型BeWo細胞への効率的遺伝子導入方法を確立するため、遺伝子導入効率に優れているAdベクターを用いて検討を行った。その結果、細胞内のcAMPを上昇させるためホルスコリン処理したBeWo細胞は、分化が進むにつれてAd受容体であるcoxsackievirus and adenovirus receptor (CAR)の発現が減少することを見出し、従来型のAdベクターでは十分な遺伝子導入が得られないことを見出した。一方で、細胞表面分子であるαvβ5インテグリンは、ホルスコリンを処理したBeWo細胞においても高発現していた。そこで、過去に研究代表者らが開発した細胞表面のインテグリンを認識し遺伝子導入可能なファイバー改変型Adベクターを用いて遺伝子導入効率の検討を行ったところ、ファイバー改変型Adベクターはホルスコリンを処理した分化型BeWo細胞において、従来型Adベクターの5倍の遺伝子導入効率を示した。また、ファイバー改変型Adベクターを用いることで、ほぼ100パーセントの細胞に遺伝子導入可能であることが明らかとし、ファイバー改変型Adベクターがヒト胎盤細胞への遺伝子導入に有用なベクターであることを示した。 現在、改変型AdベクターにsiRNA発現カセットを搭載したベクターを調整済みであり、今後ヒト胎盤関門評価系における薬物透過機構の実証的解析をおこなう予定である。
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Research Products
(1 results)