2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳がん治療薬タモキシフェン耐性腫瘍の耐性機構の解明
Project/Area Number |
17590137
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
小倉 健一郎 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (10185564)
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Keywords | 乳がん / 抗がん薬 / タモキシフェン / 抗がん剤耐性 / グルクロン酸抱合 / UGT |
Research Abstract |
平成17年度は、ヒト肝ミクロソームおよび発現ヒトUGT分子種により乳がん治療薬タモキシフェンの活性代謝物である4-hydroxy-TAM(4-HO-TAM)の幾何異性体からN-グルクロニドが実際に生成するか否かを明らかにすることを目的として研究を行った。その結果、1)4-HO-TAM N-グルクロニドの同定に用いるための標品の合成を行い、得られたグルクロニドはHPLC-TOF-MSならびにNMR分析により構造を決定した。2)ヒト肝ミクロソームによる4-HO-TAM N-グルクロニド生成について検討を行った。すなわち、UGTの補酵素UDPGA存在下、trans-およびcis-4-HO-TAMをヒト肝ミクロソームとインキュベートし、生成するグルクロニドをHPLCにより分析を行った。その結果、trans-4-HO-TAMからヒト肝ミクロソーム画分によりN-グルクロニドが生成し、HPLC-TOF-MSにより合成標品のN-グルクロニドと同定された。なお、同時に生成する4-HO-TAM O-グルクロニドについても同時に分析したところ、trans-4-HO-TAMのN-およびO-グルクロン酸抱合反応の寄与率は同程度であった。一方、cis-4-HO-TAMのO-グルクロン酸抱合反応の寄与率はN-グルクロン酸抱合反応に比べ圧倒的に高かった。このことから、cis-4-HO-TAMは主にO-グルクロン酸抱合反応により代謝されるが、trans-4-HO-TAMはO-グルクロン酸抱合反応のみならずN-グルクロン酸抱合反応の両方で同程度代謝されることが明らかになった。3)12種類のヒト発現UGT分子種を用いて4-HO-TAMに対するN-グルクロン酸抱合活性を検討したところ、UGT1A4のみが活性を示した。そこで、ヒト肝ミクロソーム画分およびUGT1A4発現ミクロソーム画分を用いてtrans-4-HO-TAMのN-グルクロン酸抱合反応の動力学的解析を行った。その結果、両画分のKm値が同程度の値を示したことから、ヒト肝ミクロソーム画分中でこの反応に関与しているUGT分子種はUGT1A4であることが強く示唆された。さらに、UGT1A4発現ミクロソーム画分を用いてcis-およびtrans-4-HO-TAMのN-グルクロン酸抱合反応の動力学的解析を行ったところ、N-グルクロン酸抱合反応はtrans-体優先的に進行する反応であることが明らかになった。
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