2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子インプリントポリマーを利用した味覚センサの開発と苦味マスキング設計への応用
Project/Area Number |
17590140
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
内田 享弘 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (70203536)
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Keywords | 分子インプリント / キニーネ / 苦味強度 / L-Arg |
Research Abstract |
分子インプリントポリマーは、テンプレート分子と機能性ポリマーを結合させ、機能性モノマー複合体を形成後、架橋剤を添加後、重合反応により得た。このポリマーからテンプレート分子を除去後、"特異的結合部位"が形成され、テンプレート分子の形状、官能基に相補性を有し、認識対象分子の鋳型様となる。機能性モノマー由来の官能基にテンプレート分子を共存させるとテンプレート分子は優先的に結合する。本研究ではキニーネ類似のchinchonidine(CD)をテンプレート分子とし、機能性モノマーにmethacrylic acid(MAA),架橋剤にethylene glycol dimethacrylate(EDTA)を用いて分子インプリントポリマーを調製し、これをキニーネの人口ポリマーとみなした。平成18年度では、従来の苦味抑制評価方法では官能試験において苦味抑制効果を示さなかったL-Lysに注目し、キニーネの苦味を対象にL-LysとL-Argのキニーネ親和性の評価方法についての検討を行った。分子インプリントポリマーと物質の相互作用の強さを示し、苦味抑制効果の程度を表すと考えられる会合定数は、L-Argでは12.6mol^<-1>Lを示し、L-Lysでは算出不可であった事から苦味抑制効果はL-Arg>L-Lysであろことが示唆され、この結果は官能試験の結果とも一致した。これらの結果より、グアニジウム基を有するL-Argがキニーネに対して、苦味抑制を示したことから、分子インプリント法を適用した苦味評価系を確立することができた。この結果から得られる会合定数は苦味抑制の指標として有用であり、本方法によりキニーネに対する新たな苦味抑制剤のスクリーニングが可能となった。キニーネに対する分子インプリントポリマー機能をセンサ膜上に付加することで、特異的・感度に優れた新規味覚センサを得ることが可能であると考えられた。
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