2006 Fiscal Year Annual Research Report
3'-非翻訳領域による薬物代謝酵素発現の制御とその機構に関する薬理遺伝学的研究
Project/Area Number |
17590142
|
Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
斎藤 嘉朗 国立医薬品食品衛生研究所, 機能生化学部, 室長 (50215571)
|
Keywords | 薬物代謝酵素 / 薬理学 / 遺伝子 / 安定性 |
Research Abstract |
薬物代謝酵素活性の個体差の原因の一つとして遺伝子多型が注目されているが、3'-非翻訳領域の多型に着目した研究は少ない。本研究では、グルクロン酸抱合酵素UGTIAIを対象に、3'-非翻訳領域の多型のmRNA安定性・代謝能等への影響を解析することを目的とする。本年度は変異体発現プラスミドの導入及び発現、及びin vivoにおけるビリルビン値とハプロタイプとの相関解析を行った。 1.変異体発現プラスミドの導入及び発現 昨年度調製した野生型及び変異型(^#IB:3'-非翻訳領域の遺伝子多型1813C>T、1941CC>G、2042CC>Gが連鎖)ハプロタイプを有するプラスミドを大量に調製し、COS-1細胞及びHepG2細胞にトランスフェクションした。各細胞につき全RNA画分およびミクロソーム画分を調製し、それぞれTaqMan法及びImunoblot法にて解析し、野生型及び変異型共にmRNA及び蛋白の発現を確認した。 2.in vivoにおけるビリルビン値とハプロタイプとの相関解析 UGT1A1は生体内においてビリルビンの抱合反応を担っている。そこで、日本人健常人554名につき、UGT1A1ハプロタイブと総ビリルビン値との相関解析を行った。ハプロタイプ^#IBを有するヒトは、野生型ディプロタイプのヒトに比べ、単独ではビリルビン値上昇に有意な影響を与えないものの、エンハンサーの多型を有する^#60(-3279T>G)と同一染色体上にあり、かつもう一本の染色体上に^#6(Gly71Arg)が存在する場合、有意なビリルビン値の上昇が認められた。一方、^#60単独のハプロタイプと^#66との組み合わせでは、有意な上昇は認められなかった。このことから^#6IBハプロタイプはin vivoレベルで、ビリルビン値の上昇に寄与することが明らかとなり、UGT1A1活性の低下に関与することが示唆された。
|