2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳生組織イメージング技術を応用した中枢神経系シナプス形成過程の形態学的解析
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17590152
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
井上 明宏 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80322080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 繁男 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60204012)
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Keywords | シナプス形成 / ウィルスベクター / トランスジェニックマウス / 緑色蛍光タンパク質 / シナプス後肥厚部 / 脳組織器官培養標本 / 海馬培養神経細胞 / 二光子レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
海馬の錐体神経細胞に特異的な発現を駆動するβ-アクチン遺伝子プロモーター支配下にGFP遺伝子を連結し、その間にlox P配列で挟んだSTOPコドンを挿入されたトランスジェニックマウスを作製した。このマウス由来海馬スライス標本にCreリコンビナーゼ遺伝子を発現するアデノウィルスを感染させ、CA1錐体細胞にランダムにGFPを発現させる一方で、CA3錐体細胞にローダミンデキストランをエレクトロポレーションにより注入し、CA1に伸びている軸索末端を蛍光標識した。このように蛍光標識された樹上突起中の棘突起(後シナプス側)と軸索上の瘤構造(前シナプス側)との相互作用と形態変化を、二光子顕微鏡にて経時的に観察、解析した結果、シナプス形成の過程で棘突起と瘤構造は接触を保ったまま速い形態変化をし、両者の動きには相関がある一方で、両者の容積変化は独立していた。よって、シナプス前後部の形態変化には局所的な調節機構があることが示唆された。 CortactinはF-アクチン関連タンパク質であり、シナプス後部足場タンパク質のShankと結合して樹状突起の棘突起中に局在する。今回、変異GFP融合型cortactin遺伝子をアデノウィルスにより海馬神経分散培養系で発現させたところ、その局在はBDNF添加により樹状突起の細胞質中からシナプス後部に移動集積した。この現象はMAPキナーゼのシグナル伝達系を介していた。また、抗BDNF受容体(TrkB)抗体添加による内在性BDNFの枯渇により、シナプス後部からのcortactinの減少をみた。逆に、NMDA型グルタミン酸受容体刺激によりシナプス後部に集積していたcortactinが消失した。この現象はNMDA拮抗剤により抑止され、Srcファミリーによるcortactinのチロシンリン酸化を必要とした。これらの結果から、シナプス形成時や可塑的変化において、BDNFとNMDA受容体刺激の効果のバランスは重要であると考えられた。
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Research Products
(4 results)