2006 Fiscal Year Annual Research Report
糸粒体膜電位の低下、核ヌクレオボディ形成と細胞老化及び細胞死の誘導に関する研究
Project/Area Number |
17590159
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西尾 康二 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助手 (60252235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 晃 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教授 (50109857)
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Keywords | 腫瘍細胞 / リン酸化 / ヌクレオボディ / PML / RBM10 / 癌抑制遺伝子 / 細胞死 / カゼインキナーゼ |
Research Abstract |
直接蛍光標識した抗S1-1-Z及び抗S1-1-p130抗体、並びに抗PMLアイソフォーム抗体を使用し、培養ヒト正常細胞(TIG3S)、腫瘍細胞、ラット及びヒト正常組織におけるS1-1及びFMLヌクレオボディの動態を観察した。若いTIG3S細胞では、S1-1ヌクレオボディが稀に観察され、PML2,4,5,6のヌクレオボディは顕著に観察された。さらにS1-1及びPML6ヌクレオボディの共局在が確認された。PKC及びCK2阻害剤を投与したHeLa及びARL細胞では、S1-1ヌクレオボディの発達が認められ、リン酸化修飾によりS1-1ヌクレオボディの構築が抑制されることが示唆された。PKCとCK2阻害剤により、HeLa及びTIG3S細胞の細胞死が誘導され、それらの増殖も強く阻害された。 ラット組織では、S1-1抗体の局在が細胞質に顕著に観察され、核内の発現は認められなかった。このため、ラット組織アレイ解析を中止した。そこで、ヒト正常組織、癌組織アレイ(脳、皮膚、食道、喉頭、喉頭咽頭、扁桃腺、甲状腺、肺、腎臓、尿管、乳腺、子宮頚部、子宮、卵巣、精巣、前立腺、胃、肝臓、胆嚢、膵臓、結腸、リンパ節を使用)、でのS1-1蛋白質・S1-1ヌクレオボディを観察した。正常組織において、S1-1ヌクレオボディが観察されたのは、乳腺の乳管細胞、胆嚢の粘膜ヒダ組織、喉頭蓋層扁平上皮、膵臓(稀に大きいS1-1ドットが)であった。これら以外の器官では、S1-1の細胞質局在が顕著であるか、核質全体にその分布が認められた。腎臓の腺癌は稀に、扁桃腺の扁平上皮癌は、際立って発達したS1-1ヌクレオボディを持つ細胞が認められた。その他の癌組織では、S1-1は顕著な細胞質局在を示すものが多かった。扁桃腺の癌を例外として、多くの癌組織ではS1-1ヌクレオボディは発現していないと考えられた。.
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