2005 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄神経節軸索の投射パターンを規定する軸索誘引メカニズムとその分子基盤の解明
Project/Area Number |
17590166
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
増田 知之 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70372828)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 憲太 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70315662)
|
Keywords | 軸索ガイダンス / 脊髄 / ラミニン / DNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
本年度に行った研究によって、以下の新たな知見等が得られた。 1.脊髄背側部は脊髄神経節(DRG)の軸索を誘引し、laminin-1のペプチドYIGSRがその効果を増強することが以前の我々の研究からわかっているが、その作用機序は不明であった。そこで、DRGの軸索に発現する2つのlaminin-1受容体、すなわち67 kD laminin receptor (67 LR)とintegrin β1の関与を3次元コラーゲンゲル培養法と機能阻害抗体を用いて検討した。その結果、67LRはYIGSRペプチドの受容体として、脊髄背側部由来の軸索誘引効果に関与するが、integrin β1は関与しないことが明らかになった。現在これらの新しい成果を盛り込み、論文投稿中である。 2.形態形成に関連した分子であるWnt4aは、発生初期のニワトリ胚脊髄背側部に強い発現が見られ、脊髄背側部由来の軸索誘引因子の候補分子の1つとして考えられる。そこで、HEK293細胞にWnt4aを一過性に発現させ、その細胞塊とDRGをコラーゲンゲル中で共培養することで、その軸索誘引活性の有無を検討した。その結果、Wnt4aは軸索誘引効果をもたず、脊髄背側部由来の軸索誘引作用に関与しないことが判明した。 3.レーザーマイクロダイセクション法とDNAマイクロアレイを併用し、脊髄背側部のエントリーゾーンに特異的な発現をもつ新規軸索誘引因子の検索を行っている。発生初期マウス胚のエントリーゾーンを構成する細胞群を切り出し、そこからcDNAを得た。現在、マウスのcDNAマイクロアレイを用いてエントリーゾーンに特異的な遺伝子をスクリーニング中である。今後、得られた遺伝子産物の発現をin situ hybridization法で確かめるとともに、2と同様な方法でその遺伝子産物の軸索誘引活性を解析する予定である。
|