2005 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄神経と副神経の運動ニューロン軸索伸長と僧帽筋二重支配機構の解明
Project/Area Number |
17590171
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
燕 軍 岩手医科大学, 医学部, 助手 (20316350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相澤 幸夫 岩手医科大学, 医学部, 講師 (90095258)
磯貝 純夫 岩手医科大学, 医学部, 講師 (60212966)
人見 次郎 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00218728)
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Keywords | 僧帽筋 / 二重神経支配 / 神経の筋内分布 / 筋紡錘 / γ-運動線維 / 順行性標識 / DiI / Biotin Dextra |
Research Abstract |
僧帽筋の二重神経支配について数多くの研究がなされたが、主に支配神経のニューロンの局在分布に注目し、これらの運動ニューロンの軸索が副神経と頚神経前枝の2つルートを通って筋に入ることが明らかになった。しかし、頚神経経由して僧帽筋を支配する神経線維のなかに、運動成分が含まれているかどうかについて今も明確にされていない。しかも、頚神経経由する線維に運動成分があると主張している文献にも、もっと具体的にこの運動線維の種類に関しては論じていない。 平成17年度に我々は、「研究計画」に従って頚神経前枝経由して僧帽筋を支配する運動線維の筋内分布を観察した。実験方法は、ラット麻酔して僧帽筋の支配神経(副神経と頚神経前枝からの交通枝)を剖出し、頚神経の交通枝を切断、蛍光物質DiI或いは順行性標識物質Biotin Dextranを切断神経の遠位端に吸収させる。生存時間を経て動物を屠殺し僧帽筋を完全に取り出して後固定などの処理をした後に、実体顕微鏡下で支配神経の筋内分布を観察し、spindleと一緒に筋組織を切り出し、10-14μmの切片を作製した。DiIによって標識した標本を蛍光顕微鏡で直接観察し、Biotin Dextranで標識した標本をABC peroxidase或いはAlexa Fluor 488とAlexa Fluor 594で発色させ、蛍光顕微鏡で観察、撮影した。 実験結果により先ず、頚神経前枝を経由して僧帽筋を支配する運動成分が筋の頭側と尾側両方ともに分布していることが明らかにした。それに、この頚神経経由する運動線維のなかに、β motor fiberがextrafusal muscle fiberに、spindleの運動支配成分がintrafusal muscle fiber(bag fiberとchain fiber)のpolar部に分布していることが観察された。数の少ないmotor end plateが観察されたことは、脊髄前角におけるα motor neuronの数の少ないこと、及び頚神経と副神経の交通枝を経由して筋に進入する成分の少ないことと一致している。観察されたSpindleを支配する運動線維の分布領域が、電気生理学的な研究のγ motor fiberの分布と一致していることから、これらの運動線維はγ motor fiberであることを確認できた。しかも、本研究の結果によって、臨床に副神経切断されたにもかかわらず、僧帽筋の「弱い」随意運動が依然観察される結果に対しても説明できる。
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