2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590178
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
塘 総一郎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (10227639)
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Keywords | カンガルー / 咬筋 / 側頭筋 / 内側翼突筋 / 有袋類 |
Research Abstract |
カンガルーの咀嚼筋については詳細な報告は少ない。またカンガルーの下顎には咬筋の深層が停止するmasseteric foramen(咬筋孔)が開いておりこれがmasseteric canal(咬筋管)を通じて下歯槽管に通じている。この孔はカンガルーに独特のもので他に例を見ない。今回我々はグレイオオカンガルー(Great-Grey Kangaroo, Macropus giganteus)の咀嚼筋を起始停止、支配神経を含めて詳細に観察し咀嚼筋各部の筋組織を免疫染色を施し比較した。3頭のカンガルー(雄2頭,雌1頭)のフォルマリン固定の標本を用いて解剖を進めた。またオーストラリアのアデレード大学で凍結標本雄1頭を用いて免疫染色を行った。カンガルーの咬筋は浅層と深層の2層が確認され、側頭筋との間に頬骨下顎筋が観察された。この筋の支配神経は咬筋神経と深側頭神経の二重支配であったのでこの筋は咬筋と側頭筋の中間の筋束と考えることが出来る。咬筋の深層は咬筋孔の中に停止していた。同部の支配神経は咬筋神経であった。内側翼突筋は水平部と垂直部の2部の部分に区別された。水平部は下顎骨の中に骨の内側から深く入り込み下顎角部を外側に押し広げていた。比較解剖学的に解析を行い咬筋孔の成因を考えてみた。この内側翼突筋の発達しているラットカンガルー等がよりこの咬筋孔が発達していることから咬筋孔はこの内側翼突筋の発達のために受動的に咬筋の深層が吻側に押し出されて生じたものであると考えられるかもしれない。この結果はAnatomical Recordに受理され現在印刷中である。
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Research Products
(1 results)