2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖とインスリンによる腎血流生理調節と高血圧発症機序
Project/Area Number |
17590181
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 建文 東北大学, 高等教育開発推進センター, 助手 (40375001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 貞嘉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40271613)
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Keywords | 糖 / インスリン / 糖尿病 / 高血圧 / 腎障害 / 腎血流 |
Research Abstract |
糖尿病ではしばしば高血圧の合併があり、降圧は糖尿病性腎症に対し絶大な腎保護効果がある。したがって本研究では糖尿病の病態を形成する最大の因子である糖とインスリンに着目し、腎血流調節作用と高血圧発症機序を明らかにすることを目的とした。 糖とインスリンの腎血流調節作用:麻酔下ラットの腎局所血流を光ファイバーを用いたレーザードップラー法で検討した。腎局所の血流変化メカニズムを明らかにするために、腎間質にカテーテルを挿入し薬液を投与した。50%ブドウ糖を静脈内投与し、血糖上昇に対する腎局所血流の変化を観察した。その結果、50%ブドウ糖の急性静脈内投与により血糖は上昇し腎髄質血流が約20%減少した。この腎髄質血流低下は活性酸素の消去剤であるTironの腎髄質間質内前投与により消失した。この時、血圧は有意ではなかったが上昇傾向を示した。一方、50%ブドウ糖の静脈内投与後にインスリンを腎髄質間質内投与しても腎髄質血流は変化しなかった。また50%ブドウ糖を直接腎髄質間質に投与しても腎髄質血流は低下した。したがって、血糖の上昇は腎髄質局所の酸化ストレスにより腎髄質血流を減少し、血圧を上昇させることが示唆された。 糖による高血圧発症と腎障害:Dahl食塩感受性(DahlS)ラットにショ糖を経口負荷すると、血糖の上昇とともに昇圧と尿蛋白の増加がみられた。このモデルにアンジオテンシン受容体拮抗薬を持続皮下投与したところ、降圧とともに尿蛋白が減少し、レニン・アンジオテンシン系の関与が示唆された。一方、高食塩食により昇圧したDahlSラットでもショ糖の経口負荷によりさらに昇圧し尿蛋白も増加した。以上の結果から、糖負荷が血圧を上昇し、腎障害をもたらすことが示され、食塩負荷とは異なる昇圧メカニズムの関与が示唆された。腎組織標本の免疫組織学的解析等でメカニズムを検討中である。
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Research Products
(6 results)