2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590183
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
福田 康一郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10009649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑木 共之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80205260)
下山 恵美 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10206253)
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Keywords | 呼吸調節 / 睡眠・覚醒 / オレキシン / 化学反射 / ノックアウトマウス / オレキシン受容体阻害剤 / 国際情報交換 / 米国 |
Research Abstract |
【目的】睡眠・覚醒状態によって呼吸調節が修飾される機序にオレキシン含有神経が関与しているかどうかを明らかにする。 【方法】1)麻酔した野生型マウスの脳室内にオレキシンを投与した時の呼吸反応を測定した。2)無麻酔のオレキシン欠損マウスおよび野生型マウスの脳室内にオレキシンまたはオレキシン受容体阻害剤を投与した後に高二酸化炭素および低酸素ガスを暴露し、その時の呼吸をボディープレチスモグラフィーにて計測した。 【結果】オレキシンを麻酔した野生型マウス脳室内に投与すると呼吸・循環ともに促進されたが、呼吸促進がより顕著であった。麻酔下では呼吸化学反射に影響を与えなかった。いっぽう、無麻酔のオレキシン欠損マウスでは、覚醒期にのみ高二酸化炭素吸入による呼吸化学反射が野生型マウスよりも有意に減弱していた。睡眠期の高二酸化炭素化学反射には遺伝子型による差がなかった。オレキシン欠損マウスの脳室内にオレキシンを投与すると、減弱していた呼吸化学反射を回復させることができた。更に、オレキシン受容体阻害剤を野生型マウスの側脳室内に投与すると、呼吸化学反射の減弱が観察された。 【考察】オレキシンに神経性の呼吸増強作用があることが明らかになった。その作用は覚醒時と睡眠時・麻酔下とでは異なり、睡眠時の基礎呼吸増強作用も否定は出来ないが、主として覚醒期の高二酸化炭素化学反射増強作用であると結論された。睡眠・覚醒状態によって呼吸調節が修飾される機序に特定の神経伝達物質の関与が証明されたのは初めての事である。来年度は、睡眠時または覚醒時に高二酸化炭素負荷を与えた時に活性化される神経細胞をc-fosを用いた組織化学的方法で同定し、その神経細胞とオレキシン含有神経細胞との関係を免疫組織化学的に検討する予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Book] 呼吸の事典2006
Author(s)
桑木共之
Total Pages
728
Publisher
朝倉書店
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より
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