2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590187
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
安藤 元紀 岡山大学, 教育学部, 助教授 (20222789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KATARE Rajesh G. 高知大学, 医学部, 助手 (20380313)
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Keywords | 迷走神経 / 電気刺激 / 不整脈 / ギャップ結合 / コネキシン / アセチルコリン |
Research Abstract |
研究代表者の所属するグループは,これまでに,心筋梗塞モデル動物を用いた実験で迷走神経刺激がその生命予後を劇的に改善することを見出した。本年度は,心臓副交感神経である迷走神経の電気刺激により心筋梗塞急性期に誘発される致死性不整脈の発生頻度が劇的に抑えられることに着目し実験を開始し,以下の研究成果を得た。 ラット左冠状動脈起始部の結紮により,急性心筋虚血(MI)動物を作製し,迷走神経刺激群(MI-VS),偽刺激群(MI-SS),コントロール群(偽手術-偽刺激,SO-SS)に分け,不整脈の発生頻度と膜輸送タンパク質の発現を調べた。その結果,急性心筋虚血時に誘発される致死性不整脈の発生が迷走神経刺激により抑制されること,迷走神経刺激の有無とギャップ結合タンパク質の一つであるコネキシン43(Cx43)の発現量が連動していること,が判明した。迷走神経刺激の有無とCx43の局在との関連を調べたところ,MI-SS群では,虚血部位に限局してCx43の陽性シグナルが減弱しているのに対して,MI-VS群ではSO-SS群と同様に介在板に局在して陽性シグナルが観察された。また,迷走神経刺激の抗不整脈作用はアトロピンでブロックされることから,迷走神経の電気刺激に始まる一連の情報伝達はアセチルコリン(ACh)のムスカリニック受容体を介することが示唆された。そこで,AChにより活性化される一連の細胞内情報伝達系を明らかにするために心筋細胞初代培養系を用いて解析をおこなったところ,AChの培養上清への添加により細胞生存シグナルの一つと考えられているAkt(protein kinase B)のリン酸化(P-Akt)が誘導されることがわかった。 次年度は,本年度の研究で明らかとなった迷走神経刺激による抗不整脈作用や細胞保護作用にかかわる活性化分子のシグナルカスケードを詳細に明らかにする必要がある。
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