2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590187
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
安藤 元紀 岡山大学, 教育学部, 助教授 (20222789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KATARE Rajesh G. 高知大学, 医学部, 助手 (20380313)
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Keywords | 迷走神経 / 電気刺激 / 不整脈 / ギャップ結合 / コネキシン / アセチルコリン |
Research Abstract |
初年度の研究成果として,心臓副交感神経である迷走神経の電気刺激により心筋梗塞急性期に誘発される致死性不整脈の発生頻度が劇的に抑えられること,迷走神経刺激によりギャップ結合タンパク質のリン酸化が厳密に制御されていること,を明らかにした.今年度は,初年度の研究で明らかとなった迷走神経刺激による抗不整脈作用や細胞保護作用にかかわる活性化分子のシグナルカスケードを明らかにすることを目標とした. 迷走神経の電気刺激に始まる一連の情報伝達はアセチルコリンのムスカリニック受容体を介することが示唆された。そこで,心筋細胞初代培養系および心筋由来の培養細胞系を用いて,アセチルコリンおよび低酸素刺激により誘導される活性分子を調べ,以下の知見を得た.培養心筋細胞に低酸素条件を負荷したところ,ギャップ結合タンパク質(コネキシン43)の発現量は著しく低下したが,アセチルコリンの存在下では低酸素条件下にもかかわらずコネキシン43の分解系が抑制されることによりその発現量が維持されることが判明した.アセチルコリンが低酸素負荷によるコネキシン43の機能不全を防ぐと考えられた.また,培養心筋細胞にアセチルコリンを添加することにより,細胞生存シグナルが誘導されることがわかった.一時的に心筋細胞の虚血耐性を増強するものと考えられた.さらに,アセチルコリンの投与により,心筋細胞から直接一酸化窒素が産生されること,それにより血管内皮成長因子(VEGF)が誘導されることを明らかにした.アセチルコリンにより血管新生が誘導される可能性が示唆された. 一連の研究成果により,迷走神経刺激およびアセチルコリンにより,心筋細胞どうしの電気的な連絡が保持されること,細胞生存シグナルが増強されること,血管新生が促進されること,が判明した.
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