2006 Fiscal Year Annual Research Report
体温調節反応に関与する交感神経プレモーターニューロンの特性解析
Project/Area Number |
17590199
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
三枝 岳志 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 講師 (70215523)
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Keywords | 体温調節 / 交感神経 / プレモーターニューロン / 延髄 / マルチユニット記録 / ユニット弁別 |
Research Abstract |
1.ウレタン麻酔下家兎の延髄網様体にて,体温調節反応に関与する交感神経プレモーターニューロンの同定を試みた。その結果,家兎において重要な熱放散器官である耳介皮膚の自発的,律動的な血管収縮・拡張反応に連動するプレモーターニューロンが,延髄腹外側野から内側野にかけて存在することが明らかとなった。これらのニューロンの多くは呼吸周期に同期した活動性を示し,体温調節中枢からの入力と呼吸調節中枢からの入力が収束していることが示唆された。さらに,一部のニューロンは,心拍動に伴う動脈圧変化にも同期していた。体温調節性皮膚血管反応が圧受容器からの入力の影響を受けるか否かについては,現時点では相反する結果が報告されているが,本結果は,体温調節系の入力と心血管調節系の入力が,プレモーターニューロンのレベルにおいて収束していることを示唆するものであった。 2.延髄網様体からの記録波形には複数のニューロン活動が重畳しているため,しばしば,波形レベルで単一ユニットを分離することは困難である。そこで,重畳した記録波形から各ユニットの発火頻度を推定する手法を開発し,前年度の本研究にて構築したマルチユニット弁別システム内に新たな機能拡張モジュールとして実装した。処理の手順は,1)記録波形に現れる閾値以上のピークを複数の波形パラメータ(ピークの高さ,ピーク前後の谷の深さ,勾配など)によって規定される多次元平面上にマッピングする;2)ピークの出現頻度を平面上の各小区画ごとに積算し,その度数を高さとした多次元曲面を求める;3)この曲面を合成的分離法によって複数の単純なピーク曲面(ガウス分布曲面を採用)に分解し,これより各ユニットの発火頻度を推定する,というものである。これによって,原波形レベルでは個々のユニットの分離が困難な場合でも,各々の発火頻度を推定することが可能となった。
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