2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 純 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (00235350)
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Keywords | 気象 / 疼痛 / 自律神経 / 動物モデル |
Research Abstract |
1)慢性痛が気象変化で増強するメカニズムには白律神経系の反応の変化が関与する可能性が高い。そこで,坐骨神経損傷により後肢に痛覚過敏を誘発した自由行動下のラットの安静時血圧・心拍数を経日的(術前より術後19日まで)に記録し,気圧低下(大気圧から27hPa減圧)に対する自律神経系の反応性が慢性痛発症後に変化するかを観察した。安静時の血圧・心拍数は損傷後4-11日目に有意に上昇したが,15-19日目には術前値よりもかえって低値を示した。一方,気圧低下に対する血圧・心拍数の上昇の程度は,15日以後のほうがそれ以前よりも高かった。坐骨神経損傷による慢性痛病態では術後経過とともに安静時の自律神経バランスが交感神経優位から副交感神経優位に変化するが,気圧低下に対する交感神経系の反応性はむしろ増加することが分かった。 2)気象変化が実際に交感神経活動に影響しているかどうかを調べるには,不動化した動物で実験を行う必要がある。そこで次年度研究の予備実験として,気圧低下による血圧・心拍数の上昇が麻酔下または除脳動物においても観察されるかどうか調べた。バルビツール,ウレタン+αクロラロース,イソフルレン麻酔下の動物では血圧・心拍数の変化は消失するが,除脳動物では覚醒動物と同程度の変化が観察された。よって今後の交感神経活動の記録実験には除脳動物を用いることにした。 3)我々のこれまでの研究により,ラットの気圧検出機構は内耳前庭に局在する可能性が高い。そこで,麻酔下ラットの前庭神経核と三叉神経脊髄路核の単一ニューロン放電に対する気圧変化(大気圧より40hPaの減圧)の効果を観察した。結果として,どちらのニューロン群においても気圧低下によって放電増加を示すユニットが存在することが分かった。それらには気圧低下中に自発放電が増加するもの,復圧時に反応を開始するものなど複数の反応パターンが存在することも分かった。
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Research Products
(2 results)