2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590208
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
田中 冨久子 (貴邑 冨久子) 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (40046066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舩橋 利也 横浜市立大学, 医学研究科, 助教授 (70229102)
美津島 大 横浜市立大学, 医学研究科, 講師 (70264603)
高瀬 堅吉 横浜市立大学, 医学部, 助手 (80381474)
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Keywords | 性差 / CREB / ホルマリンテスト / 侵害刺激 / 脳・神経 / 分界条床核 / 側座核 / ラット |
Research Abstract |
1.ホルマリン侵害刺激に対する痛み行動の性差 正常雄性ラットおよび発情前期ラットの足底皮下に生理的食塩水を投与しても、痛み行動は惹起されなかった。ホルマリンの足底皮下投与により、両群において、2-15分と30-60分をピークとする二相性の痛み行動が惹起された。10-15分の痛み行動は、雌性ラットの方が有意に高く、従って、雌性ラットの方がホルマリン侵害刺激に対する感受性の高いこと、すなわち、痛がりであることが確認された。 2.pCREBによる痛み受容脳領域のマッピングとその経時的変化 生理的食塩水を対照群としてホルマリンを投与し、正常雄性ラットおよび発情前期ラットにおいてpCREB免疫陽性細胞の発現の変化を、投与前を0分として、5、10,30,120分後に検討した。その結果、室傍核、海馬、扁桃体(内側部、外側部、外側基底部、正中部)、および分界条床核内側部において、生理的食塩水投与群およびホルマリン投与群の間で、雌雄ラットにおいて、有意な変化は認められなかった。しかし、分界条床核外側部および側座核において、雄性ラットにおいては、生理的食塩水投与群およびホルマリン投与群の間でpCREB発現の有意な変化は認められなかったが、発情前期のラットでは、pCREB発現が、投与後5分において、有意に増加した。 3.性腺ステロイドホルモンの役割 ホルマリン投与によるpCREB発現に性差の認められた分界条床核外側部および側座核において、雌性ラットの性腺を摘除すると反応性が消失し、エストロジェンを補充すると、ホルマリンに対する反応性が回復した。 以上、ホルマリン侵害刺激に対する痛み行動には性差が存在し、分界条床核外側部および側座核が関与すること、その性差は、性腺ステロイドホルモンに対する感受性の性差に起因することが推測された。
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