2006 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞におけるプロスタノイドの役割解明とその治療への応用
Project/Area Number |
17590211
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
結城 幸一 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80302420)
|
Keywords | プロスタノイド / プロスタグラシン / トロンボキサン / 心筋梗塞 / 受容体欠損マウス |
Research Abstract |
本研究の目的は、心筋梗塞におけるプロスタノイドの役割を解明し、その受容体作用薬の薬物治療への可能性を明らかにすることである。これまでに、4種類存在するPGE_2受容体を1つずつ欠損させたマウスを用い、虚血心臓に対する各受容体の役割を解析してきた。その結果、内因性のPGE_2が以前から報告していたEP_4に加えてEP_3を介して、虚血心臓に対し保護作用を持つことが明らかとなった。今回、ランゲンドルフ式灌流心を用い、PGE_2-EP_3系の虚血心臓保護作用が心臓に対する直接作用であることをバルーンカテーテルを用いて心機能を測定することにより解析した。マウス左心室内ヘバルーンカテーテルを入れ、虚血-再灌流負荷を加えLVDP (Left Ventricular Developed Pressure)を測定したところ、EP_3欠損マウス心臓のLVDPの回復は、野生型と比較して有意に悪化していた。さらにPGE_2が心筋細胞、非心筋細胞のいずれに作用してその作用を発揮するのか、培養細胞を用いた解析を行った。EP_3は、Gタンパク質の中で細胞内cAMP量を抑制するGiに共役している。よって、cAMPを上げる薬物により細胞内cAMP量を上昇させ、これを選択的EP_3アゴニストが抑制するかを調べた。前年度は、EP_3アゴニストによる細胞内cAMP量の抑制は認められなかった。そこで、EP_3よりも発現量の多いEP_4への交叉反応を考え、EP_4欠損マウスより心筋細胞、非心筋細胞を単離培養し解析を行った。その結果、心筋細胞においてフォルスコリンによる細胞内cAMP量の上昇をEP_3アゴニストは、有意に抑制した。このことより、少なくともEP_3アゴニストが心筋細胞に作用することが確認できた。
|