2007 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞におけるプロスタノイドの役割解明とその治療への応用
Project/Area Number |
17590211
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
結城 幸一 Asahikawa Medical College, 医学部, 講師 (80302420)
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Keywords | プロスタノイド / 心筋梗塞 / 受容体欠損マウス / 虚血-再灌流障害 |
Research Abstract |
本研究の目的は、心筋梗塞におけるプロスタノイドの役割を解明し、その受容体作用薬の薬物治療への可能性を明らかにすることである。これまでに、4種類存在するPGE_2受容体を1つずつ欠損させたマウスを用い、虚血心臓に対する各受容体の役割を解析してきた。その結果、内因性のPGE_2が以前から報告していたEP_4に加えてEP_3を介して、虚血心臓に対し保護作用を持つことが明らかとなった。今回、ランゲンドルフ式灌流心を用い、PGE_2-EP_3系の虚血心臓保護作用が心臓に対する直接作用であることを心臓からのクレアチンキナーゼ(CK)遊出量を指標に解析した。心臓をランゲンドルフ式に灌流後、左心室内にバルーンカテーテルを留置した。そしてペーシングにより心拍数を一定にした後、灌流液を一定時間途絶後再開し、経時的に冠灌流液をサンプリングし、CK濃度を測定した。結果、野生型マウス心臓と比較してEP_3欠損マウス心臓からのCK遊出量は、有意に増大していた。つまり、PGE_2-EP_3系の虚血心臓保護作用の少なくとも一部は、心臓に対する直接作用であることが明らかとなった。さらに培養心線維芽細胞を用い、PGE_2が心線維芽細胞に作用するか解析した。EP_3は、Gタンパク質の中で細胞内cAMP量を抑制するG_iに共役している。そこでフォルスコリンによる細胞内cAMP量の上昇に対するEP_3アゴニストの作用を解析した。結果、EP_3アゴニストは、フォルスコリンによる細胞内cAMP量の上昇を抑制せず、かえって増加した。このことより心線維芽細胞においては、EP_3アゴニストによる刺激は、G_i以外にも存在する可能性が示された。
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Research Products
(2 results)