2005 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度グルコース曝露に対する膵β細肪の応答反応におけるTRPチャネルの役割
Project/Area Number |
17590224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
石川 智久 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (10201914)
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Keywords | 薬理学 / 膵臓β細胞 / シグナル伝達 / 伸展刺激 / 低浸透圧刺激 / カチオンチャネル / カルシウムイオン / インスリン分泌 |
Research Abstract |
Wistar系雄性ラットからコラゲナーゼ消化法により単離したβ細胞の低浸透圧刺激に対する[Ca^<2+>]_i変化をCa^<2+>蛍光指示薬であるfura-2を用いて測定した。低浸透圧刺激は、灌流液の浸透圧を296mOsmから190mOsmへと減少させることにより行った。また、単離した膵ラ氏島およびβ細胞株であるINS-1細胞におけるTRPチャネルの発現をRT-PCR法により解析した。 低浸透圧刺激によるβ細胞の[Ca^<2+>]_i上昇反応は、Gd^<3+>と同様に、他のカチオンチャネル阻害薬であるamilorideや2-APBによっても有意に抑制された。また、プロテインキナーゼC阻害薬であるRO 31-8220も低浸透圧刺激に対する[Ca^<2+>]_i上昇反応を有意に抑制することが示された。以上の結果から、低浸透圧刺激によるβ細胞[Ca^<2+>]_i上昇反応にカチオンチャネルが関与していることがさらに強く示唆された。また、その活性化にはプロテインキナーゼCが関与している可能性が示された。 神経細胞、平滑筋細胞など多くの細胞において、TRPチャネルのひとつであるTRPV4が低浸透圧感受性を示し、低浸透圧刺激による[Ca^<2+>]_i上昇反応に関与していることが報告されている。そこで、β細胞における低浸透圧感受性カチオンチャネルがTRPV4である可能性について検討を行った。しかし、低浸透圧刺激による[Ca^<2+>]_i上昇反応は、TRPVチャネルの選択的阻害薬であるruthenium redでは抑制されず、また、選択的TRPV4活性化薬である4α-PDDは[Ca^<2+>]_i上昇反応を惹起しなかった。さらに、RT-PCRにより、ラット膵ラ氏島およびINS-1細胞におけるTRPV4の発現は確認されなかった。以上の結果から、ラット膵β細胞における低浸透圧感受性カチオンチャネルがTRPV4である可能性は低いことが示された。
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