2006 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度グルコース曝露に対する膵β細肪の応答反応におけるTRPチャネルの役割
Project/Area Number |
17590224
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
石川 智久 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10201914)
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Keywords | 薬理学 / 膵臓β細胞 / シグナル伝達 / 伸展刺激 / 低浸透圧刺激 / カチオンチャネル / カルシウムイオン / インスリン分泌 |
Research Abstract |
高濃度グルコース曝露がβ細胞アポトーシスに及ぼす影響を調べた。Wistar系雄性ラットから単離したβ細胞を33.3mMグルコース含有培地で6日間培養し、TUNEL法により解析したところ、明らかなアポトーシス細胞の増加が認められた。そこで、より定量的な解析を行うために、フローサイトメトリーを利用した測定を行った。解析にはラット由来β細胞株であるINS-1細胞を用い、アポトーシスの評価には、ヨウ化プロピジウム染色によるsub-G_1測定法、およびAnnexin V法を用いた。33.3mMグルコースへの6日間の曝露により、アポトーシス細胞の割合は有意に増加した。この高濃度グルコースによるアポトーシスへのiNOS誘導の関与をiNOS選択的阻害薬1400WとNOS非選択的阻害薬L-NNAを用いて検討したところ、1400Wでは抑制が認められたが、L-NNAでは効果にバラツキがあった。一方、NOドナーDETA/NOは、0.3mMまでの濃度ではアポトーシスを抑制し、1mMでは促進することが示され、NOがβ細胞のアポトーシスに対して2面性の作用を示すことを明らかにした。今後、このNOの作用とTRPチャネルとの関連について検討していく。 また、高濃度グルコース曝露による細胞膨張に対する応答反応とTRPチャネルとの関連についても検討した。ddy系雄性マウスから単離したβ細胞を用いて、低浸透圧誘発細胞膨張によるβ細胞の[Ca^<2+>]_i上昇およびインスリン分泌について薬理学的解析を行った。いずれの反応もカチオンチャネル阻害薬Gd^<3+>により一部抑制されたものの、ラットβ細胞とは異なり、プロテインキナーゼC阻害薬RO31-8220による抑制は認められなかった。今後、さらに薬理学的解析や遺伝子欠損動物を用いた解析等を行うことにより、この応答反応に関与するTRPチャネルの同定をめざす。
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Research Products
(4 results)