2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病アミロイド前駆体蛋白及びプレセニリンに結合する蛋白の機能解析
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17590242
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
棚橋 浩 金沢大学, がん研究所, 助手 (90236654)
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Keywords | 認知症 / 転写制御 / 神経変成疾患 / Fe65L2 / アルツハイマー病 / BACE / プロテオゾーム / NMD |
Research Abstract |
1、APP結合蛋白Fe65L2と結合する蛋白を酵母ツーハイブリッド法によりスクリーニングしたところ、RNAポリメラーゼ2の大サブユニット(RPB1)の特異的な7アミノ酸52回繰り返し配列を含むC端(CTD)を含むクローンが得られた。GSTプルダウン実験及びFe65L2を強制発現させたCOS細胞抽出液と燐酸化状態特異的な抗RPB1抗体を用いた免疫沈降実験によりFe65L2は、RPB1 CTDの非燐酸化フォームと優先的に結合する事が解った。またFe65、Fe65L2が転写に及ぼす影響をFe65、Fe65L2とGAL4のDNA結合領域を持ったコンストラクトとGAL4依存性レポータージーンを培養細胞で一過性発現させることにより調べたところ、Fe65では、GAL4依存的に転写の活性化が見られたが、Fe65L2では、むしろ転写の抑制が見られた。このようにFe65L2は核内でRNAポリメラーゼ2と複合体を形成し転写の制御を行っている可能性が示唆された。2、AD発症と相関のあったFe65L2の多型c954C→Tを含むDNAプローブに結合する核蛋白の存在がゲルシフトアッセイにより示唆された。3、APPを過剰発現するHEK293細胞においてPS2結合蛋白DRALを強制発現させるとAPPの発現そのものには有為な影響は見られなかったが分泌されるAβの減少、分泌型APPの増加が見られ、DRALがAPPの代謝に影響を及ぼす可能性が示唆された。4、nonsense mediated mRNA decay (NMD)により制御を受ける新たなBACEのアイソフォームを同定した。mRNAは僅かであるがヒト脳に存在する。たとえこのアイソフォームを細胞に強制発現させてもERに留まりプロテオゾーム依存的に分解された。細胞内では、このアイソフォームが生じないように質的な制御がされているものと思われる。
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