2005 Fiscal Year Annual Research Report
リピッドラフトを介したチオレドキシンの取り込み機構とその細胞生物学的機能の解析
Project/Area Number |
17590247
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 則彦 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (50378949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淀井 淳司 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80108993)
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Keywords | ストレスシグナル / レドックス(酸化還元) / チオレドキシン / 改変体 |
Research Abstract |
チオレドキシンの細胞内への取り込み機構を解析する目的でその活性部位を変異した改変体を蛍光ラベルしHTLV-I感染細胞(ATL2)に添加し、FACSおよびconfocalにて解析を行った。その結果、改変体は添加後30分で10%の細胞に取り込まれ、90%の細胞においてその細胞膜上にdot様に検出された。またこの結合および取り込みは還元剤であるジチオスレイトール(DTT)や、過剰なチオレドキシンにより阻害することが明らかとなった。さらにヒスチジンタグをつけた改変体を細胞に添加し、cell lysateを抗ヒスチジン抗体を用いて検出を行ったところ蛍光ラベルと同様に改変体の細胞内への取り込みが確認された。以上のことより、改変体はチオレドキシンの細胞への結合および取り込みを解析するツールとして用いることができると判断した。次にこの細胞への結合・取り込みに細胞特異的な拘束性があるかどうかを検討した。ATL2と同様に数種のHTLV-I感染細胞株および非感染性であるT細胞株に改変体を添加しFACSで解析を行った。その結果、前者において顕著な結合および取り込みが確認され、後者においてはそれが非常に少なかった。しかしながら、これらのウイルス非感染T細胞を典型的な免疫刺激として知られるPMA/ionomycinで刺激後、改変体を添加したところウイルス感染細胞株と同様に改変体の結合・取り込みが著明に確認された。これらのことから改変体は活性化された細胞やウイルス感染した細胞に結合および取り込まれることが明らかになった。さらに、細胞膜かこのようなときに変化するものとしてリピッドラフト構造が知られており、このリピッドラフト分画に添加した改変体が局在するかどうかを確認した。その結果、活性化T細胞およびATL2細胞のラフト画分に改変体が検出された。以上のことより、チオレドキシンは細胞内に取り込まれるときにリピッドラフトを介していることが明らかになった。来年度は、取り込まれた改変体がどのような細胞応答に影響を与えるかを検討する予定である。
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