2006 Fiscal Year Annual Research Report
骨とメカニカルストレス:圧センサーとしてのTRPV4チャネルの機能の解明
Project/Area Number |
17590255
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
水野 敦子 自治医科大学, 医学部, 助手 (30364532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 誠 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10196868)
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Keywords | 細胞・組織 / 再生医学 / 生体分子 |
Research Abstract |
TRPV4(Transient receptor potential vanilloid 4)は、細胞での物理的刺激感知に関わるカルシウム透過性チャネルの一つで、温度、酸、低浸透圧等で活性化することが知られている。予備検討において軟骨細胞での発現が示唆されたことから、軟骨細胞が関与する骨の成長、さらには骨折後の修復過程にもTRPV4は機能している可能性がある。そこで、TRPV4欠損マウス(TRPV4-/-)と正常マウスとを組織学的・電気生理学的に解析するとともに、骨折モデル実験を行い、骨折修復の過程を比較した。 1)成長板軟骨において、増殖期・肥大化初期の軟骨細胞にTRPV4は発現していた。 2)パッチクランプによる解析では、TRPV4-/-由来初代培養軟骨細胞の低浸透圧での反応は欠如していた。 2)組織学的には、幼若マウスの成長板の一部に軟骨カラム形成の異常が散見されるが、μCT撮影による骨梁の形態には構造上大きな差異は認められなかった。 3)骨折修復モデル実験:脛骨を歯科用ディスクカッターで切断し、その治癒過程を組織学的に比較検討したが、形態学的差異は認められなかった。 以上の結果から、TRPV4は軟骨細胞で機能発現しており、少なくとも低浸透圧で活性化するが、欠損による軟骨細胞の増殖分化への影響は比較的軽微であることが示唆される。他のチャネル遺伝子あるいは圧力応答メカニズムによって代償されている可能性が考えられる。
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