2005 Fiscal Year Annual Research Report
Nkx2-5の発現と心筋分化誘導・決定に関わる転写調節因子の同定と解析
Project/Area Number |
17590260
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
日高 京子 国立循環器病センター(研究所), バイオサイエンス部, 室長 (00216681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森崎 隆幸 国立循環器病センター(研究所), バイオサイエンス部, 部長 (30174410)
白井 学 国立循環器病センター(研究所), バイオサイエンス部, 室員 (70294121)
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Keywords | 心筋分化 / ES細胞 / Nkx2-5 / RNA干渉 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
本研究では、ES細胞を用いた試験管内分化誘導系を利用して、心筋特異的転写因子Nkx2-5と関連する転写因子の探索・同定・解析を行い、転写調節因子ネットワークによる心筋細胞分化誘導機構の解明をめざすものである。Nkx2-5の初期胚の心臓原基での発現誘導については心筋の分化誘導を理解する上で重要な手がかりと考えられるが、既知の転写因子やその組み合わせだけで心筋の分化誘導や決定を説明するのはまだ不十分であり、未同定の因子を明らかにすることは、心臓の発生分化・形態形成を細胞レベルのメカニズムとして理解する上で重要である。ES細胞は試験管内で胚様体の形成を通して比較的容易に心筋へと分化し、胚発生における心筋の分化様式をある程度模倣している数少ない試験管内システムの一つである。研究代表者は胚様体培養時に一時的に血清を除去することにより、特異的に心筋分化を誘導できることを見出した。この「心筋分化促進条件」に加え、レチノイン酸刺激による「心筋分化抑制条件」および「通常条件」の3つの条件で分化誘導を行い、RNAを回収して発現遺伝子についてマイクロアレイ解析を行った。その結果、Nkx2-5と同様なプロファイルで発現する既知および未知の遺伝子が同定され、既知の遺伝子にはNkx2-5以外の心臓発生に関わる転写因子などが含まれていた。機能未知の遺伝子についてマウス胚での発現をin situ hybridizationで調べたところ、ほとんどが心臓領域特異的に発現することがわかった。一方、short hairpin RNA(shRNA)の発現カセットをハウスキーピング遺伝子であるHprt遺伝子座に安定的に導入する系を開発した。導入されたshRNAにより、外来性(GFP)および内在性(Flk1)の遺伝子が分化後も一貫して抑制されたことから、この方法が未知遺伝子のin vitroでの機能解析に利用できると考えられた。次年度以降はマイクロアレイにて同定した未知の遺伝子についてRNA干渉法を利用した方法で機能解析を進める予定である。
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