2006 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌における癌抑制性チロシンキナーゼSykの機能解析:HER2との対比
Project/Area Number |
17590261
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
谷口 隆信 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60217130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 剛志 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (60194833)
石田 敦彦 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90212886)
竹内 昌之 旭川医科大学, 医学部, 助手 (40226999)
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Keywords | 癌 / 乳癌 / タンパク質チロシンキナーゼ / syk / Her2 |
Research Abstract |
【研究の目的】 Her2は乳癌における代表的な癌遺伝子産物で、その発現冗進は癌組織の異形性や遠隔転移率の上昇と相関があり、独立した予後不良因子であることが明らかにされています。また、臨床的にも予後の判定や化学療法抵抗性の予測はもちろんのこと、抗Her2抗体(ハーセプチン)が治療に用いられ一定の効果が認められています。一方、非受容体型のチロシンキナーゼであるSykは主として血液/免疫系の細胞に存在していると考えていましたが、最近の研究ではSykは乳腺上皮細胞にも見出され、乳癌においてその発現の低下が癌の悪性化や進行に相関していることが報告されており、癌抑制性の機能を担っていることが考えられます。これらの二つのキナーゼは何れも乳腺組織に存在する蛋白質チロシンキナーゼであり、下流の情報伝達経路に差違があるためにこのような違いが生じると考えられます。 Sykを高発現させ乳癌細胞で、抗癌剤であるadriamycin (ADR)添加によって誘導されるapoptosisを、ポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP)の分解を指標に検討した。 【本年度の研究実績】 1)Syk遺伝子の導入 癌細胞におけるSykの機能を検討するために、乳癌細胞株MDAMB453に対しSykを導入した。ジェネティシン耐性細胞をクローン化し(MS5、MS9)Sykの発現状況を検討した所、MS5においては中程度の、MS9では非常に高いSykの発現が認められた。 3)細胞増殖速度の低下 細胞に対して10μMADRを2時間あるいは2日間暴露した所、特に2時間の暴露に置いて、Sykの発現量の増加によってPARPの分解が亢進し、Sykがapoptosisの進行を促進している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Characteristics of acid extrusion from Chinese hamster ovary cells expressed different prostaglandin EP receptors.2006
Author(s)
Okada, Y., Taniguchi T, Morishima, S., Suzuki, F., Akagi, Y., Muramatsu, I.
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Journal Title
Life Sci 78
Pages: 2454-2462
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より
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