2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590263
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山崎 哲男 東北大学, 大学院・医学系研究科, COEフェロー (90330208)
|
Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 遺伝子 / 発現制御 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
フォスファチジルイノシトール3キナーゼに結合する分子として単離されたアダプター分子BCAPの遺伝子欠損マウスでは、脾臓成熟B細胞の細胞死に対する感受性が亢進している。NF-κBファミリーの構成員であるc-Relの選択的減少を一因とする転写因子NF-κBの活性化障害が、その背景に存在することをこれまでに明らかにしてきた。NF-κBはアポトーシスや細胞周期関連分子に加えて、癌転移に密接に関連する一連の分子を標的として含み、発現誘導にかかわっている。したがって、細胞の恒常性維持機構の分子論的理解の推進ひいてはがん治療の確立を念頭においた場合、NF-κB活性を過不足無く適度なレンジに規定するメカニズムを解明し、人為的に制御することが必要不可欠である。BCAPとNF-κBの機能的・物理的連関の分子基盤を解明するために、BCAPの機能ドメインの絞込みと当該領域の結合分子の単離を行った。κB配列を含むリポータージーンアッセイによって、NF-κBの活性化には、BCAPのC末に位置するプロリンに富む配列を含む領域が必要とされることを見出した。加えて、この領域をベイトにした酵母two-hybridスクリーニングによってBB1(BCAP Binder 1)をクローニングし、RNA干渉によるノックダウン実験で、BB1のNF-κB活性化への関与を確認している。BCAPはBB1との結合を通して、細胞表面の分子イベントを転写因子NF-κBの活性化へと変換する過程に、ひいては発がんの制御に寄与していることが示唆された。この知見を基に、BB1の一連の欠失変異体を作成し、リポーターアッセイで検定したところ、BB1のC末端の約100アミノ酸がNF-κBとの連携を担う機能領域であることが判明した。
|