2005 Fiscal Year Annual Research Report
栄養環境感知システムとして機能するmTORシグナルの解明と生体での役割
Project/Area Number |
17590267
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原 賢太 神戸大学, 大学院・医学系研究科, COE研究員 (70397826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横野 浩一 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50144580)
永田 正男 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70294220)
森山 啓明 神戸大学, 大学院医学系研究科, COE研究員 (70372646)
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Keywords | シグナル伝達 / 糖尿病 / 癌 |
Research Abstract |
細胞栄養環境を感知するmTORシグナルの分子基盤と生体での生理作用を調べるため、 1)mTORに対するアダプター蛋白Raptorに対する新規結合蛋白の同定 2)mTOR遺伝子欠損マウスを用いた解析を行なった。 1)Raptor結合蛋白の同定:結合蛋白の候補として、Raptorとそのエフェクター分子との結合モチーフであるTOS motifと呼ばれるアミノ酸配列に着目した。その結果、Raptorに結合する蛋白として、ある種のヒト遺伝性疾患の原因遺伝子を見いだした。この遺伝子産物の各種mutantを作成し、Raptorとの結合部位、様式などを解析し、栄養シグナルや低酸素シグナルにおける役割を検討した。Raptorに対する新規結合候補蛋白は、癌抑制遺伝子の一つであり、特に癌細胞の低酸素に対する抵抗性を付与する機能や、低酸素下の新生血管造成等に関与する蛋白である。栄養環境センサーとして機能するmTORシグナルの一つとして、酸素センサーとして機能する細胞内シグナルの分子基盤の解明につながることが期待される。 2)mTOR遺伝子欠損マウスの解析:mTOR遺伝子欠損マウスにおいては、ホモ欠損マウスは胎生致死であるため、ヘテロ欠損マウスを用いて、特に糖・脂質・エネルギー代謝などの生理作用や、膵臓β細胞の細胞成長能などを検討した。糖負荷やインスリン負荷を行い、インスリン感受性やインスリン分泌能、脂質代謝などを検討し、更に高脂肪食負荷を加えて、表現型の解析を行った。その結果、mTORヘテロノックアウトマウスは高脂肪食に対して、抗肥満作用のあることが判明し、mTORシグナルは生体では、脂質・エネルギー代謝の制御に関与している可能性が考えられた。成人病の大きな悪化因子である肥満のメカニズムとその治療法に対して、mTORシグナルの重要性を示す物と考えられた。
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Research Products
(2 results)