2006 Fiscal Year Annual Research Report
栄養環境感知システムとして機能するmTORシグナルの解明と生体での役割
Project/Area Number |
17590267
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原 賢太 神戸大学, 大学院医学系研究科, COE研究員 (70397826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横野 浩一 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50144580)
永田 正男 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (70294220)
森山 啓明 神戸大学, 大学院医学系研究科, COE研究員 (70372646)
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Keywords | シグナル伝達 / 糖尿病 / エネルギー代謝 / mTOR |
Research Abstract |
mTOR遺伝子ヘテロ欠損マウスにおいては、高脂肪食負荷による肥満に対して抵抗性を示していることを昨年度見出したが、本年度の更なる解析の結果、このマウスにおいては、全身の脂肪蓄積が有意に少なく、血中レプチンも脂肪量と相関して低下していることが判明した。更に、肥満糖尿病モデルマウスであるKK-A^yマウスに対しても、mTOR遺伝子のヘテロ欠損は抗肥満効果をもたらすことが新たに確認できた。両者をコントロールマウスと比較したところ、血中の中性脂肪やコレステロールなどには有意差は認めず、脂肪組織においてエネルギー脂質代謝や分化にかかわるPPARsや脱共役遺伝子などの転写因子や酵素群の発現量にも有意な差は認めなかった。一方、肥満に伴い脂肪組織において、mTOR経路で活性化されるS6蛋白のリン酸化や増殖マーカーとしてのPCNAの発現が増加していたが、mTOR遺伝子ヘテロ欠損においてはS6蛋白のリン酸化やPCNAの発現が低下している傾向にあることが判明した。以上の結果は、過食や過栄養によってもたらされる肥満に伴う脂肪細胞の増殖において、mTORによるp70 S6キナーゼ経路の活性化シグナルが促進的な役割を果たしていることを初めて示したものであり、mTORシグナルの活性化は生体において、anabolicな作用を発揮していることが明らかとなった。逆にこのシグナルの抑制は、肥満やメタボリクシンドロームの抑制につながる可能性が考えられた。
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Research Products
(6 results)