2005 Fiscal Year Annual Research Report
血中遊離インスリン受容体αサブユニットの存在意義と遊離メカニズムの解明
Project/Area Number |
17590269
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小畑 利之 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助教授 (40325296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蛯名 洋介 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 教授 (00112227)
湯浅 智之 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助手 (50304556)
横山 和博 徳島大学, 分子酵素学研究センター, COE研究員 (00346602)
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Keywords | インスリン受容体 / シグナル伝達 / 生理活性 / 糖尿病 |
Research Abstract |
インスリン受容体はインスリン結合部位であるαサブユニットとチロシンキナーゼドメインを持つβサブユニットからなり、S-S結合でα_2β_2となり、1つのレセプターを形成する。いくつかのホルモン受容体の細胞外ドメインが血清中に遊離し存在することが報告されている。しかしヒト血清中におけるインスリン受容体αサブユニットの存在と定量法およびその病態との関連に関しては報告はない。以上の背景の上に"ヒト血清中には微量の遊離インスリン受容体αサブユニットが存在し、その量がある種の疾患と関連する可能性がある。"と申請者らは仮説をたてた。 そこで血清中遊離インスリン受容体αサブユニットを定量するELISA系をMBL社と共同で確立した(特許申請中)。インスリン受容体αサブユニットはインスリンと結合するので、血中の実質的なインスリン濃度を下げ、血中グルコース濃度が高くなる(BBRC,2003,Obata et al.)。従って、血中遊離インスリン受容体αサブユニットの増加は、糖尿病発症の増悪因子となる可能性がある。 今年度は次の結果を得ている。 (1)2型糖尿病患者636名と正常人243名の血中遊離αサブユニットを測定したところ、2型糖尿病患者では有意にその値が上昇していた。 (2)さらに、正常人と1型糖尿病患者53名を比較したところ、1型糖尿病患者でも有意に血中αサブユニット値が上昇していた。 (3)1型糖尿病患者5例においても、発症入院時には全例で血中αサブユニット値の上昇が見られ、インスリン治療による退院時(6〜10日後)には低下し、入院から1ヶ月後にはほぼ正常のレベルまで戻っていた。この事実は従来の糖尿病臨床検査HbA1cやGlycoalbuminに比較し、血中IRαはより早く変動する事が明らかになった。 (4)STZ投与1型糖尿病モデルマウスでも血中IRα値が上昇している事が明らかになった。
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Research Products
(4 results)