2006 Fiscal Year Annual Research Report
中心体複製の制御因子SHD1の発現異常によるゲノム不安定性誘導機構
Project/Area Number |
17590271
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
桑原 一彦 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (10263469)
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Keywords | 中心体複製 / ゲノム不安定性 / 発癌 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
SHD1の中心体複製制御を明らかにするために、中心体においてSHD1と結合する分子の探索を酵母ツーハイブリッド法とプロテオミクス解析を併用して行い、THP1を同定した。現在までTHP1に対する良い抗体が得られていないため、中心体でSHD1と実際結合しているかについてはまだ証明できていない。THP1の生体内での役割を明らかにするためにB細胞特異的THP1欠損マウスを作成したところ、B細胞数が激減し、成熟B細胞の生存維持ができないことが判明した。HIH3T3細胞を用いたTHP1のノックダウンではアポトーシスが誘導されることがわかり、その一つの機構としてBaxの誘導が考えられた。SHD1の酵母相同分子であるSac3がセントリンと結合することが報告されているが、マウスの系ではSHD1とセントリンの結合は確認出来ず、酵母とマウスでは機能が異なることが考えられた。In vivoでのSHD1の機能、特に中心体複製における役割を明らかにする目的でCAG-Creマウスとの交配によって全身型SHD1欠損マウスの作製を行ったが、顕著な表現系は得られず、SHD1の機能の代償する分子が生体内に存在することが示唆された。さらにSHD1の腫瘍化における役割を個体レベルで明らかにするために、lckプロモーター制御下にSHD1を過剰発現させたトランスジェニックマウスを昨年度作成してBalb/cマウスバッククロスした。このマウスにおいてT細胞リンパ腫の発癌が誘導できるかを解析したが、胸腺や末梢リンパ組織におけるT細胞分化は正常で、半年間の観察では腫瘍化を認めたなった。今後の長期観察が必要と考えている。
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