2006 Fiscal Year Annual Research Report
B型肝炎ウィルスX蛋白質の転写活性亢進能へのユビキチン系の関与
Project/Area Number |
17590274
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
徳永 文稔 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教授 (00212069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 一宏 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (60252459)
桐浴 隆嘉 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助手 (30347497)
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Keywords | ウイルス / 癌 / 酵素 / 細胞・組織 / 蛋白質 |
Research Abstract |
B型肝炎ウィルス(HBV)感染は肝細胞癌発癌の主因であり、HBVのX蛋白質(HBx)が遺伝子転写を異常に亢進させる「トランス活性化能」を発揮することが病原性発現に重要である。我々がユビキチンリガーゼ(E3)として同定したHOIL-1は、HBxの細胞内結合蛋白質の一つとして同定されていた機能未知蛋白質である。さらに、HBxはUV損傷DNA結合蛋白質(DDB1)と会合することが知られ、DDB1はCullin4AやRbxlとともにRING型E3複合体の構成因子であることから、HBxが病原性発現のためにユビキチン修飾系を広く利用している可能性が示唆された。本研究で我々は、HBxのトランス活性化能におけるHOIL-1やDDB1-Cu14Aリガーゼの役割を解析した。その結果、HOIL-1はHOIPと命名した新規RING型E3と複合体を形成することでNF-κB経路を特異的に活性化し、HBxはその活性を増強することが分かった。HBx-HOIL-1リガーゼ複合体はNF-κBの古典的経路におけるIkBキナーゼ活性化を標的としており、E3活性を欠失させた変異体ではNF-κB活性化能がないことから、E3活性がNF-κB活性化に必要であることが示された。一方、HBxはDDB1を介してCu14A-Rbx1やCu14B-Rbx1と細胞内で複合体を形成した。HBxがこのリガーゼ複合体と結合すると非特異的に転写活性を亢進し、E3活性中心であるRbxlが結合できないCu14A変異体では転写亢進活性が見られないことから、ユビキチン結合活性が転写亢進に重要と考えられる。これらの知見はHBVがユビキチン修飾系を広く利用し遺伝子転写を異常に亢進させ、細胞の癌化を引き起こす可能性を示唆した。
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Research Products
(3 results)