2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590275
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
石井 秀始 自治医科大学, 医学部, 講師 (10280736)
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Keywords | 腫瘍生化学 / 癌抑制遺伝子 / チェックポイント / ゲノム不安定性 / FHIT |
Research Abstract |
がん抑制蛋白質Fhitの114番目のチロシン残基(Y114)が、ラウス肉腫ウイルス由来のSrcキナーゼによってin vitroとin vivoでリン酸化制御を受けることから、その分子修飾の意義を解明することを目的とした。本年度はFhit発現ががん細胞にアポトーシスを誘導し、正常細胞には殆ど影響を及ぼさないメカニズムの究明、より効果的ながん抑制機能経路の解明に焦点を絞った。研究成果は以下の3つの格子よりなる。(1)Fhitリン酸化変異体(Y114F, Y114A)を用いた実験により、野生型FhitはS期チェックポイント(CP)応答に関わる分子群の発現を誘導することを見出した。この誘導には114番目のチロシン残基のリン酸化が必須であり、リン酸化Fhitはチェックポイント応答分子群のプロテアソーム依存性分解を制御することを見出した。(2)発現変化したチェックポイント応答分子群は、正常細胞とがん細胞のmid-S期CP応答の差異に依存して、がん細胞特異的に細胞死を誘導することを見出した。そのメカニズムは、正常細胞でCP活性化、下流チェックポイントを誘導することで細胞周期を停止、細胞死を抑制することを明らかにした。一方で、食道がん細胞ではチェックポイント経路の応答不全のため細胞周期は停止せずにアポトーシスが誘導され、また癌細胞でのチェックポイント機能不全は紫外線照射後キナーゼ群の機能として検出可能であった。もって、Fhit導入によるがん細胞死は、がん細胞でのS期CP活性化異常を作用点としており、CP応答が正常と相違することが示唆された。(3)下流でのアポトーシスの実行にはミトコンドリア細胞死経路が関わることを見出した。Fhit導入によるがん細胞死実行プロセスの解析の結果ミトコンドリア経路の細胞死を誘導すること、またこの機構がゲノム安定性の制御に大きく関わることを明らかにした。
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