2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590275
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
石井 秀始 自治医科大学, 医学部, 講師 (10280736)
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Keywords | 腫瘍生化学 / 癌抑制遺伝子 / チェックポイント / ゲノム不安定性 / 癌幹細胞 / FHIT |
Research Abstract |
前年度に引き続き、癌抑制蛋白質Fhitの114番目のチロシン残基(Y114)が、ラウス肉腫ウイルス由来のSrcキナーゼによってin vitroとin vivoでリン酸化制御を受けることを研究上の手掛りとして、その分子修飾の生物学的意義を解明することを目的とした。本年度は、特にFhitの癌抑制機能がSrcキナーゼによるリン酸化に依存し、新しい治療標的として有用であることを明らかにした。上皮性悪性腫瘍を対象にした研究から、Srcキナーゼによる活性制御は、癌細胞でしばしば異常を来すDNA損傷修復経路の下流に位置することから、正常細胞と癌細胞とを分子論的に区別した治療標的として開発するための手掛りを得た。研究成果の概要は以下の如くである。(1)Fhitリン酸化変異体を用いた実験により、S期チェックポイント(CP)応答にはY114のリン酸化が必須であった。(2)リン酸化FhitはCP応答分子群のプロテアソーム依存性分解を制御した。(3)FhitによるCP応答は癌細胞にアポトーシスを誘導し、正常細胞には殆ど影響を及ぼさなかった。(4)各種癌細胞の検討から、Atr経路の下流にFhit-CP応答機構が位置することを明らかにした。(5)消化管腫瘍ではAtr経路に異常が見出された。(6)この制御機構の破綻がゲノム安定性の多段階的な異常の蓄積として病態形成に繋がることをin vitroのアッセイ系を構築して明らかにした。
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