2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590275
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
石井 秀始 Jichi Medical University, 医学部, 講師 (10280736)
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Keywords | 腫瘍生化学 / 癌抑制遺伝子 / チェックポイント / ゲノム不安定性 / 癌幹細胞 / FHIT |
Research Abstract |
前年度に引き続き,癌抑制蛋白質Fhitの114番目のチロシン残基(Y114)が,ラウス肉腫ウイルス由来のSrcキナーゼによってin vitroとin vivoでリン酸化制御を受けることを研究上の手掛りとして,その分子修飾の生物学的意義を解明することを目的とした.本年度は,特に造血幹細胞の骨髄移植モデルを使用して,ゲノム損傷を受けた幹細胞のマウス個体レベルでの挙動を追跡した.この研究により,癌抑制蛋白質Fhitの生化学的研究から個体レベルの生理的機能の作動を対応付けて把握することが可能となった.そこにおいて,Fhitの癌抑制機能がSrcキナーゼによるリン酸化に依存し,新しい治療標的として有用であることを明らかにした.具体的研究成果の概要は以下の如くである.(1)Fhit欠損造血幹細胞は,ゲノム損傷を受けた後もアポトーシスに至らずに生存した.(2)Fhit欠損造血幹細胞の細胞死抵抗には活性酸素が関与することが特異的なマーカーを使用することで明らかとなった.(3)Fhit欠損造血幹細胞のゲノム損傷の過程には活性酸素が関与することが示され,また特異的な薬剤で人為的に制御することが可能であった.(4)この制御機構の破綻がゲノム安定性の多段階的な異常の蓄積として病態形態に繋がることが明らかとなった.
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