2006 Fiscal Year Annual Research Report
BCCIPを介したファンコニ貧血経路と家族性乳ガン経路の分子相互作用
Project/Area Number |
17590280
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
石合 正道 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (90298844)
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Keywords | DNA修復 / ファンコニ貧血症 / 家族性乳ガン / 遺伝性疾患 / DT40 / yeast two-hybrid / 分子生物学 / 遺伝学 |
Research Abstract |
高発ガン性遺伝疾患であるファンコニ貧血(FA)、家族性乳ガン(BRCA)原因遺伝子産物はどちらも相同組換えと呼ばれるDNA修復機構に関連する。FA経路とBRCA経路の機能的相関はこれまでにも多く指摘されているが、生体内での作用メカニズムは不明である。 研究代表者等は、ニワトリFANCD2のN末側をbaitとしたyeast two-hybrid (Y2H)スクリーニングによりBCCIPのC末側の領域を単離した。BCCIPとFANCD2の相互作用を確認するために、昨年度はニワトリBCCIPとFANCD2の全長をクローニングし、それぞれHis、 TAPタグ付きタンパク質として発現するベクターを構築し、293T細胞に共発現させ、ビーズによるTAP-FANCD2のプルダウンとウエスタン法によりBCCIPとFANCD2の結合を確認した。 本年度は、まずこの分子間相互作用の普遍性を再検討するため、ヒト遺伝子で検討を行った。全長のヒトBCCIPとFANCD2の全長、並びにN末端領域をbait, prey両方ヘクローニングし、Y2H法で検討を行ったが、どの組み合わせも相互作用を検出できなかった。ヒトBCCIPはBRCA2と結合することが報告されている(Liu等2001:Lu等2005)。結合領域を含む3つの異なるヒトBRCA2の断片をクローニングし、BCCIP, FANCD2,BRCA2のbait, preyの考えられる全ての組み合わせについて、Y2H法で検討を行った。BCCIP baitとBRCA2 preyで非常に弱い相互作用が検出されたが、その他の組み合わせでは相互作用が見られなかった。 ヒト遺伝子では検出が難しいので再びニワトリ遺伝子を用いmammalian two-hybrid (M2H)法で再検討した。ニワトリBCCIPとFANCD2の全長及びY2Hスクリーニングでとられた部分配列のどちらもbait, prey両方のプラスミドにクローニングし、M2H法でアッセイした。考えられる全ての組み合わせを試したが、いずれも相互作用を検出できなかった。同時にヒトBRCA2の断片を共発現させても効果はなかった。BCCIPとFANCD2の相互作用は非常に弱く、用いる実験系により検出の程度が異なると考えられる。 一方、研究代表者らはニワトリDT40細胞由来のfancc/brca2二重変異細胞を用い、細胞増殖と細胞のX線感受性ではこの2つの経路が遺伝学的に関連することを報告しており(Kitao等2006)、生体内ではFA経路とBRCA経路の相互作用が確かに存在することが確認された。ニワトリ遺伝子を用いたY2Hあるいはプルダウン-ウエスタン法によりBCCIP-FANCD2の相互作用領域を確定し、その生物学的意味を探ることで決着をはかりたい。
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