2005 Fiscal Year Annual Research Report
中心体再複製抑制に関与する遺伝子の単離およびその機能解析
Project/Area Number |
17590286
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
泉 秀樹 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (10397987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 伸也 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (90274133)
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Keywords | 遺伝学 / がん / 中心体 / 染色体 / 細胞 / FISH / S期 / M期 |
Research Abstract |
中心体は、動物細胞の核近傍に局在する非膜性の細胞内小器官である。細胞周期の間期において中心体は微小管形成中心(MTOC)として細胞内の極性を維持し、分裂期には紡錘体極となり、娘細胞への均等な染色体分配に深く関わっている。中心体は細胞周期と同調してDNA合成期に複製するが、中心体複製はDNA複製と同様に一細胞周期においてただ一度だけ起こるように厳密にコントロールされている。中心体複製機構がみだれ、一細胞周期において複数回中心体複製が起こると、分裂期に多極性の紡錘体極が形成されることになり、染色体が不均等に分配され、多くは分裂死を起こすが、この中から悪性度の高い細胞が出現してくる可能性がある。実際、多くのヒトがん細胞で中心体の過剰複製が観察されていることから、おそらくがん細胞の多くは、この中心体の再複製の抑制に関わる遺伝子がなんらかの形で不活性化していることが予想される。そこで本研究において中心体の再複製を抑制する遺伝子を細胞工学的に探索した。 これまでに申請者らは、マウスA9細胞にDNA複製阻害剤処理すると中心体が過剰複製することを明らかにしている。今回、マウスA9細胞にヒト染色体を1本導入した細胞を用いて、A9細胞の中心体過剰複製を抑制する活性を有するヒト染色体をスクリーニングした。その結果、いくつかのヒト染色体が中心体過剰複製抑制活性を持つことを見出した。現在、これらのヒト染色体について、活性を有する染色体上の部位の限局化をRadiation hybrid mapping法により進めている。さらに、これと並行して、ヒトゲノムデータベースを用いて、活性を有する染色体上に中心体複製に関与する可能性がある遺伝子の探索を進めている。
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