2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子量依存的遺伝子による白質ジストロフィーの分子基盤の解明
Project/Area Number |
17590287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩城 明子 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (30253454)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 神経科学 / 遺伝学 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
近年ハプロ不全や遺伝子重複、エピジェネティクスの破綻など遺伝子量の変化により引き起こされる疾患が次々と明らかになり注目を浴びている。このように遺伝子量や遺伝子産物の絶対量の厳密な制御が重要であり、その破綻により表現型に著しく影響を与える遺伝子を遺伝子量依存的遺伝子(dosage-sensitive gene)と呼んでいる。本研究では中枢ミエリンの主要膜蛋白質であるproteolipid protein遺伝子(PLP 1)の異常(点変異・完全重複・完全欠失)によるPelizaeus-Merzbacher病(PMD)をモデルとして遺伝子量依存的な遺伝子の異常に基づく疾患の分子機構を明らかにし治療法の手掛かりを得ることを目的としている。今年度は主にPMDにおける重複のメカニズムを解明するために重複領域を調べ切断点の解析を行った。重複家系20例のうちさらに協力が得られた6例についてXq22領域のPACプローブを用いたinterphase FISH法やSTS primerを用いた定量的PCRにより重複範囲の絞り込みを行い、次にinverse PCRにより組換え点付近を増幅し配列を決定した。その結果、重複領域の大きさや切断点は家系ごとに異なり、PLP 1遺伝子だけでなく複数の遺伝子を含む0.3-1Mbにおよぶ大きなゲノム領域がhead-to-tailで重複していることが明らかになった。近位あるいは遠位の切断点のいずれかはAluまたはL1反復配列内に存在し、AT-richな配列が多く見られた。PLP 1遺伝子の遠位部にはX-染色体特異的なlow-copy repeat(LCR)の密集した領域が存在していたが、近位部には見られなかった。これはゲノムの重複・欠失による疾患でよく見られるLCRを介した相同組換えとは異なっており、重複のメカニズムの多様性が示唆された。
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