2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子量依存的遺伝子による白質ジストロフィーの分子基盤の解明
Project/Area Number |
17590287
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩城 明子 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (30253454)
|
Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 神経科学 / 遺伝学 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
本研究では中枢ミエリンの主要膜蛋白質であるproteolipid protein遺伝子(PLP1)の異常(点変異・完全重複・完全欠失)によるPelizaeus-Merzbacher病(PMD)をモデルとして遺伝子量依存的な遺伝子の異常に基づく疾患の分子機構を明らかにすることを目的としている。今年度は主にPLP1完全欠失の症例の解析を行った。患児のゲノムDNAからXq22領域内に存在するSTSプライマーを用いてPCRを行い欠失領域の絞り込みを行った。次に切断点を含むことが予想された領域を増幅しその塩基配列と既知のゲノム配列と比較することにより切断点を決定した。その結果欠失領域は75kbであり近位の切断点はLTR内に、また遠位の切断点はL1反復配列内に存在していることを明らかにした。昨年度にすでに報告したPLP1重複家系における重複の切断点とその周辺付近の配列と比較すると、重複の場合は0.3-1Mbにおよぶ大きなゲノム領域がhead-to-tailで重複しておりPLP1の遠位部にあるX-染色体特異的なlow-copy repeat(LCR)の密集したゲノム領域内に遠位の切断点があるケースが多かったが、欠失の切断点はその領域内に存在せず、欠失領域も比較的小さくその中に存在するPLP1以外の遺伝子は1つのみであった。重複の場合は近位あるいは遠位の切断点のいずれかはAluまたはL1反復配列内に存在していたが、欠失でも同様の傾向が見られた。以上よりPLP1の重複・欠失は他のゲノムの重複・欠失による疾患でよく見られるLCRを介した相同組換えとは異なっており、重複のメカニズムの多様性が示唆された。さらに新たな患者数名についてのPLP1重複の解析を行った。これまで重複の検出に使用していたリアルタイムPCRに加えて、新たにMLPA法を導入し良好な成績が得られた。
|