2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子量依存的遺伝子による白質ジストロフィーの分子基盤の解明
Project/Area Number |
17590287
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩城 明子 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 助教 (30253454)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 神経科学 / 遺伝学 / 脳神経疾患 |
Research Abstract |
本研究では遺伝子量依存的な遺伝子の異常に基づく疾患の分子基盤を明らかにし治療法の手掛かりを得ることを目的としている。本年度の成果は以下の通りである。(1)Pelizaeus-Merzbacher病(PMD)が疑われた症例でPLP1遺伝子の重複やコード領域に変異が見られない患者について、発現調節に関与する5'上流域4kbに渡り塩基配列を決定し複数の変異を同定した。さらに細胞培養系を使ってその機能解析を行った。また、PLP1のエピジェネティックな発現制御の観点からPMDの新たな病因を探る目的で、PLP1の5'上流域におけるDNAメチル化状態を調べ、不活性化X染色体の指標となりうるCpGサイトを見出した。 (2)将来の治療を見据えてRNAiによる発現抑制系を開発した。これはmicroRNA(miRNA)の前駆体を時空間的制御が可能なRNA polymerase II系プロモーターの下で発現させるもので、artificial miRNA precursor motif(AMPM)と命名した。AMPMは標的遺伝子の発現を強力に抑制した。また、AMPMを選別マーカー遺伝子のイントロン内に配置することにより、選別マーカー遺伝子の発現と標的遺伝子の発現抑制を一致させることができた。(3)遺伝子重複とその切断点の解析の経験を生かして常染色体優性遺伝形式をとる脊髄小脳失調症16型(SCA16)の分子機構の解明に取り組み、その病因がイノシトール1、4、5-三リン酸受容体遺伝子(ITRP1)のハプロ不全であることを明らかにした。すなわちITRP1も遺伝子量依存的遺伝子であり、遺伝子産物の絶対量の厳密な制御が重要であることが示唆された。
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