2005 Fiscal Year Annual Research Report
先天性肺嚢胞性疾患発生機序の分子病理学的解明:先天性嚢胞性腺腫様肺奇形をモデルに
Project/Area Number |
17590293
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中谷 行雄 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20137037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣島 健三 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (80218833)
宮城 洋平 神奈川県立がんセンター臨床研究所, がん分子病態部門, 部門長 (00254194)
永井 雄一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 助手 (10323396)
大出 貴士 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (00422246)
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Keywords | 病理学 / 先天性嚢胞性腺腫様肺奇形 / LKB1 |
Research Abstract |
先天性嚢胞性腺腫様肺奇形(Congenital cystic adenomatoid malformation ; CCAM)は主として新生児期に重篤な呼吸障害を呈する稀な肺嚢胞性疾患であるが、その発生機序は不明である。我々は本病変が過誤腫的な腫瘍性病変であり、その発生にPeutz-Jeghers症候群の責任遺伝子であるLKB1の異常、あるいはこれに関連する細胞内増殖シグナル伝達系の異常が関与するとの仮説をたてた。そこで、CCAM外科切除5症例のパラフィン包埋組織を用い、同遺伝子変異及びその関連する細胞内増殖シグナル伝達系タンパクの発現・活性化を解析した。 1)LKB1のexon 1-exon 9に対する12セットのプライマーを作製し、パラフィン切片から抽出したDNAをPCRにて増幅、direct sequencing法にて変異を解析。 結果:現在、2症例でexon2の解析を終えた段階で、いずれも変異を認めなかった。次年度に残りの解析を終了させる予定である。 2)LKB1,phospho-mammalian target of rapamycin(p-mTOR), phospho-ribosomal protein S6(p-S6),p63,high molecular weight cytokeratin(34βE12)に対する抗体を用い、免疫組織化学的に発現・活性化を解析。 結果:LKB1は非病変部気管支上皮では主に基底層に陽性細胞が認められた。病変部の細気管支様構造は陽性細胞が少なく、少数認められた陽性細胞は細胞質が突起状であり、神経内分泌系細胞の可能性が示唆された。P63,34βE12は正常部・病変部共に基底細胞が多数陽性に染色され、LKB1陽性細胞数と基底細胞数には明瞭な相関を認めなかった。p-mTORの発現は明かでなかった。p-S6は病変部の上皮で高発現する傾向が認められた。以上より、CCAMではLKB1発現が減少傾向にあり、同遺伝子や関連シグナル伝達系異常の検索を進める意義があると考えられた。
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Research Products
(6 results)