2005 Fiscal Year Annual Research Report
肺腺癌の浸潤部で誘導される創傷治癒関連分子の同定とその制御機構の破綻について
Project/Area Number |
17590294
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
仁木 利郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (90198424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 聡 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90324342)
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Keywords | 癌 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 病理学 |
Research Abstract |
(1)肺腺癌、扁平上皮癌それぞれ24例からなる組織アレイを構築した。肺腺癌に関しては、浸潤部、非浸潤部の21対からなる組織アレイをさらに構築した。また肺癌と比較するため、正常肺組織、肺線維症、器質化肺炎(創傷治癒に相当)からなる組織アレイを一個作成した。 (2)上記組織アレイを用いて、(a)細胞周期関連分子p53,p21,p27,Ki-67,(b)p53 family分子p63,p73,(c)癌抑制遺伝子E-cadherin, p16,Pten, Smad3,Smad4の染色を行った。その結果、(a)p53の核内蓄積は同一腫瘍内では均一におきること、(b)Ki-67 indexからみた細胞増殖は必ずしも非浸潤部に比し浸潤部で高いわけではないこと、(c)検索した癌抑制遺伝子の発現低下が同一腫瘍内でも不均一に生じている、などの知見を得た。肺線維症、器質化肺炎におけるこれらの分子の発現は現在さらに解析中である。 (3)p63,p73は癌組織のみならず器質化肺炎、肺線維症などでの発現亢進が認められた。肺腺癌92例におけるp63,p73の発現を解析しその臨床病理学的解析を行った結果、(a)p63とp53の間に発現の相関がないこと、p63の細胞内発現は予後不良因子であること、(b)p73とp53の発現の間には正の相関があること、p73の発現低下は予後不良因子であることなどを明らかにした。 (4)肺腺癌細胞と筋線維芽細胞の共培養系を作成し、癌の浸潤先進部で誘導される遺伝子の包括的な解析の準備を進めている。
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