2006 Fiscal Year Annual Research Report
未分化型胃癌の遺伝子発現はゲノムと組織環境によってどのように調節されているか
Project/Area Number |
17590300
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
杉原 洋行 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (30171169)
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Keywords | 胃癌 / 遺伝子発現調節 / ゲノムコピー数 / 組織環境 / CESH / CGH / RT-PCR |
Research Abstract |
今年度は、1)染色体レベルでの網羅的解析方法(CESH、CGH)を用い、癌の発現プロファイルに対する組織環境とゲノム構成の影響の割合が粘膜内と深部浸潤部でどのように異なるか、2)E-cadherin exon 8の発現(RT-PCR、免疫染色)に対するゲノムコピー数やepigeneticな変化の影響が粘膜内と深部浸潤部でどう異なるかを、食道扁平上皮癌8例と未分化型胃癌28例を用いて検討した。いずれのアプローチでも同一腫瘍の凍結切片から、表層部と深部の複数部位から腫瘍細胞をmicrodissectionで採取し、DNAとRNAを抽出、それぞれ標識後CGHとCESH/RT-PCRに用いた。 1)では、CESHとCGHの一致率は深部で高く(Gバンド数で70%以上)、表層部で低かったが、核の大型化した部位では、表層部でも一致率が高かった。CESHとCGHの一致率が高いということは、組織環境からの発現調節が低下し、腫瘍がより自律的に生長していることを反映している。 2)ではCGHによって、CDH1がマップされる16q22.1のDNAコピー数の減少が、未分化型胃癌の16例と食道癌の8例中2例(早期癌、進行癌各1例)に見られた。そのうち進行食道癌では、DNAコピー数の減少は病巣内の複数サンプルのすべてに見られた一方、CESHとRT-PCRでは最深部のサンプルのみで発現の低下が見られた。早期食道癌では、CESHで16qの発現低下を伴っていないことがわかった。粘膜下組織までは、ゲノムコピー数の異常が(残存alleleの)発現調節によって補われる一方、この補填は進展とともに失われていくことが示唆された。胃癌で解析の終わった1例では、全てのサンプルで、CGHで16q-、CESH、RT-PCRと免疫染色で同部位の発現低下が見られ、この症例では比較的初期からこの補填能が失われていると考えられた。
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Research Products
(1 results)